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「主な顧客は、自動車メーカー、部品メーカー、大学などの研究所。自動運転を可能にするためのセンサー、足回り部品、電池などの開発実験に利用されている」

そう話すのは、ZMPの谷口恒社長だ。今日までの道のりは紆余曲折の繰り返しだったという。

ロボットと車という二つの産業を組み合わせる

谷口社長は1989年に群馬大学工学部を卒業後、自動車部品メーカーや商社に勤務。文部科学省の研究所で、2足歩行ロボットが歩く姿を目の当たりにし、「ロボットで人々の生活は大きく変わる」と確信。01年にZMPを創業して、家庭向け2足歩行ロボット「nuvo(ヌーボ)」や自律移動可能なネットワーク音楽プレーヤー「miuro(ミューロ)」を発売。業容を拡大させたが、リーマンショック後、開発資金の調達難に直面することに。「家庭向けではなく、法人向けビジネスを展開できないかと考えた。その答えが、ロボットと車という日本が得意な二つの産業を組み合わせること」(谷口社長)だった。

「RoboCar」は事業の立て直しに貢献した。4期前に黒字化し、その後も黒字を継続。13年12月期は5億円の売上高を見込む。

ZMPが今後注力するのが、「自動車をインターネットにつなぐこと」(谷口社長)。世界には10億台超の自動車が走っている。それらがインターネット端末になれば膨大なデータを集められる。自動車での移動や消費にはどのような傾向があるか、どんなときに事故が起きやすいかなどが分析できる。

これを実現するのが、ZMPが開発した車両データの送受信システムだ。7月にJVCケンウッドと提携して、合弁会社カートモを設立。車から情報を収集するデバイス「カートモUP」の販売を開始する。

自動走行車と、自動車のインターネット端末化。日本の得意な技術を生かした新たなビジネスが、成長期を迎えようとしている。

(撮影:大塚 一仁)

週刊東洋経済2013年9月14日号

週刊東洋経済編集部
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