「疲れが慢性的な人」が知らない運動の新常識 「背骨・肩甲骨・股関節」を動かすのが先決だ

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たとえばデスクワークを長時間続けると、まず「背骨・肩甲骨・股関節」の3カ所の動きが悪くなります。体幹は前に曲がって肩がせり出し、腕の付け根にある肩甲骨も左右に開いたまま固まってしまいがちに。このように姿勢が崩れていると、この3カ所のまわりの筋肉は硬くこわばっていきます。すると体の土台部分の可動域が小さくなるので、付随して腕や脚の動きまで悪くなっていくのです。

私はこうした症状に対して、拙著『動的ストレッチメソッド』でも詳しく紹介している、全身を大きく動かしてほぐしながら持久力・筋力をアップさせる「動的ストレッチ」という運動法を勧めています。

「体を大きく動かす」ストレッチが最強に効く理由

ストレッチというと一般的には、ポーズをとってじっくり体を伸ばすものを思い浮かべる人が多いでしょう。それは「静的ストレッチ」といい、体の柔軟性を高める効果に優れています。しかし一般人には大きな柔軟性が必要となる場面はそうなく、それよりも体をほぐして大きく動かせたほうが毎日を快適に過ごせるのです。

一方、「動的ストレッチ」はその名のとおり体を大きく動かしながら、こわばった筋肉や関節をほぐしていくストレッチです。サッカーのウォームアップで行われる「ブラジル体操」や、なじみのある「ラジオ体操」も動的ストレッチの一つというとイメージしやすいのではないでしょうか。

腕や脚など体を大きく振っていく動きの効果で、体幹までしっかりほぐれていきます。これにより関節内を満たす「滑液」という潤滑油の働きをする体液の循環が促進されます。すると関節のすべりをよくするヒアルロン酸の含有量が増加するため、骨の接触部分の摩耗を防いでくれるのです。

『動的ストレッチメソッド』(サンマーク出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

先述のとおり、背骨の関節は猫背の姿勢などが続くとその形で固まってしまいがちです。これは、同じ姿勢のまま動かずにいると、関節を包む関節包や関節をつなぐ靭帯などの組織が硬く変性し、関節の動きを悪くするから。背骨まわりの動きを柔軟に保つにはスイング動作でよく動く体幹に戻すことが必要なのです。

「いつも体がダル重いのは中高年以上だけ。自分はそんなふうにならない」と思っている20~30代の人も、何もケアをしなければいずれ加齢による不調が訪れます。体幹周辺を中心に体をスムーズに大きく動かして、こわばりや痛みからくるダル重さを今からしっかり解消しておきましょう。

谷本 道哉 近畿大学准教授

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たにもと みちや / Michiya Tanimoto

近畿大学生物理工学部人間環境デザイン工学科准教授。1972年静岡県生まれ。大阪大学工学部卒。パシフィックコンサルタンツ㈱にて道路トンネル設備設計業務に従事後、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。国立健康・栄養研究所特別研究員、順天堂大学博士研究員などを経て現職。専門は筋生理学、身体運動科学。「みんなで筋肉体操」の番組中では「筋肉指導」として、筋トレメニューの作成と指導を担当。

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