関ヶ原の戦い「よく聞く通説」はウソだらけだ 「裏切りの理由」「徳川秀忠遅刻の原因」も?

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今回も、よく聞かれる質問に答える形で、解説しましょう。

Q1. 関ヶ原の戦いとは何ですか?

慶長5(1600)年9月15日、美濃国関ヶ原で行われた日本史上最大級の野戦です。

当日は家康率いる約7万4000(東軍)と三成率いる約8万2000(西軍)の軍勢が激突し、開戦当初は陣形の有利な西軍が優勢でしたが、小早川秀秋の東軍への寝返りを機に形勢が逆転したため、ほぼ半日で決着し家康が勝利したとされています。

関ヶ原の戦い、実はかなり後世のフィクション

Q2. 現在の認識はこれまでと違うのですか?

だいぶ異なっています。

近年では、白峰旬氏をはじめ各研究者が1次史料(当時の人が残した手紙や日記などの同時代史料)を基に、関ヶ原の戦いに関する検証を行っています。

その結果、これまで知られてきたストーリーが、実は「史実ではなかった」可能性が高いことが、次々と明らかにされてきました。

Q3. それらの根拠となる史料にはどんなものがありますか?

たとえば、当時来日していた「キリスト教宣教師の記録」です。

言うまでもなく彼らは外国人であるため、第三者的な立場から日本国内での出来事を見聞していました。

また、彼らは大名や貴族をはじめ、文化人、庶民にいたるまで交友関係が広く、残した情報も詳細であることから、近年の研究で注目されています。

Q4. 私たちの知る「関ヶ原の戦い」とは何だったのですか?

端的に言えば、江戸時代以降に作り上げられたフィクションです。

戦いがあったのは事実ですが、数々のエピソードについて詳しくみてみると、それらは戦いが起きた当時の記録(1次史料)からは確認できないものも多いのです。最近の研究では、後世の小説等でしだいに脚色され、世間に浸透していった過程が明らかになっています。

Q5. 具体的には「どんな事実」が明らかになったのですか?

戦いの顚末はもちろん、これまで広く知られてきたエピソードや名場面が「ことごとく」史実ではないとする指摘が相次いでいます。

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