Airbnbの爆発的成長支えるたった3つの原則 成功する会社にはシンプルなルールがある

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さまざまな人との出会いを通して、「エアビー」のルールは次のように改良された。

(1)大規模なイベントをターゲットにするだけではなく、世界に目を向ける
(2)部屋を提供してくれるホストを大切にする
(3)「エアビー」の信念(たとえば、宿泊場所の写真は、プロ並みのクオリティを維持すること。ゲストが使うせっけんは新品を提供するなどといった、もてなしの精神)に共感してくれるホストを獲得する

この3つのルールはまさに、スタートアップを成長させるための、最も大切な原理原則であり、ビジョンであり、会社の魂の部分なのである。

いまやエアビーが存在することで、旅行者たちは、世界中どこにいても、まるで自分の友人の家に泊まりにいくような感覚で、旅をすることができる。

お仕着せのパックツアーに申し込んで、無味乾燥かつ人工的でよそよそしいホテルに泊まるのではなく、勝手を知った地元の人間の家で、その土地の文化に溶け込み、まるで暮らすように時間を過ごすことができる。

エアビーアンドビーは、そのような旅の仕方を、現代のテクノロジーを使って可能にし、旅行業界に破壊的な創造をもたらした。

赤の他人を自宅に泊めるビジネスなんて絶対にうまくいくわけがないと、周りの人たちから思われていた創業者3人は、「シェアリングエコノミー(共有型経済)」の先駆者となった。

「シンプルなルール」に、とことんしがみつけ

『SIMPLE RULES 「仕事が速い人」はここまでシンプルに考える』(三笠書房)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

先述のYコンのポール・グレアムですら、「きみたちは頭がどうかしているのか?」といった。ポール・グレアムが「エアビー」に投資したのは、ジョーたちのビジネスアイデアに共感したからではなく、シリアルを売ってまで事業を継続させようとした、その根性を買ったからだという。

現在、「エアビー」は、世界約200カ国、6万5000以上の都市で事業を展開し、ひと晩で5万人から6万人が利用する企業に成長した。

また、登録物件は個人宅だけでなく、古城やイグルー(イヌイットの家)、ツリーハウスにいたるまで、数多くの宿泊施設を仲介している。その企業の成長は突き詰めると、上記にあげた、たった3つのシンプルなルールに集約することができるのだ。

戸塚 隆将 シーネクスト・パートナーズ代表

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とつか たかまさ / Takamasa Totsuka

慶應義塾大学経済学部卒業。ゴールドマン・サックス勤務後、ハーバード経営大学院(HBS)でMBA取得。マッキンゼー・アンド・カンパニーを経て、2007年、シーネクスト・パートナーズを設立、代表取締役に就任。同社にて企業のグローバル事業開発およびグローバル人材開発を支援するほか、HBSのケーススタディ教材を活用した実践ビジネス英語プログラム「VERITAS」を主宰。著書に『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?』『世界のエリートはなぜ、「この基本」を大事にするのか?【実践編】』などがある。

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