Airbnbの爆発的成長支えるたった3つの原則 成功する会社にはシンプルなルールがある
喜んだのもつかの間、バラク・オバマの支持者たちがデンバーを離れ、宿泊者が激減する。そこで、彼らは苦肉の策として、当時大統領候補だったオバマとジョン・マケインのイラスト付きのシリアルを売ることにした。「オバマ・オー」シリアルと「キャプテン・マケイン」シリアルをつくり、オークションサイト「イーベイ」に出品した。これが思いのほかヒットしたのだが、それでも金欠生活は続き、彼らは売れ残った「キャプテン・マケイン」を食べて飢えをしのいだ。
伝説の投資家は、何をアドバイスしたか
この時期、彼らは生涯忘れられない経験をすることになる。その一つは、「Yコンビネータ(通称Yコン)」の創立者、ポール・グレアムとの出会いであった。
「Yコン」は、有望なビジネスに投資と事業のアドバイスを行う「シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール」といわれている。ここから多くのスタートアップが世界的企業へと成長し、巣立っていった。クラウドデータ保存サービスの「ドロップボックス」やオンライン掲示板の「Reddit(レディット)」などが、その代表的な例だ。
この「Yコン」に応募して、みごと受け入れられたことが「エアビー」の転機になった。「Yコン」の創業者ポール・グレアムは、「エアビー」創業者の3人に、こんな貴重なアドバイスをくれた。
(2)「(ユーザーの多い)ニューヨークに行け」
ローンチしたばかりで、ユーザー数の少ない「エアビー」にとって、(1)は勇気のもてるアドバイスだった。
そして、(2)のアドバイスに従って、ジョーとブライアンは、ニューヨークに通いつめ、実際にホストの部屋に泊まってみることにした。このときにホストたちの家を一軒一軒訪ねて回ったことは、長く続く会社を作り上げていくうえで大きな収穫となった。
その経験から改良したことの一つに、「ホストの部屋の写真の撮り直し」があった。ウェブサイトに掲載されている彼らの家の写真は、ホスト自身が素人レベルのテクニックで撮影したものであったため、実物の魅力をまったく伝えていないことが多かった。
しかし、写真をプロの手に任せると、予約者数がわずか1週間で2倍にもハネ上がったのである! それに、自分たちも実際にホストの家に宿泊してみて、改めてホストたちのことをビジネスパートナーであると思うようになった。「部屋を提供してくれる人間の数さえ増えれば、誰でもいい」というわけじゃない。
ジョー、ブライアン、ネイサンが、ビジネスを始めたときにつくったルールは、単純に「大規模なイベントをターゲットにする」だった。
サンフランシスコのデザイン見本市や「サウス・バイ・サウス」、民主党大会に目をつけたのはそのルールがあったからだ。でかいイベントなら、人もカネも動くだろう。
しかし、ビジネスはそう簡単にはいかない。
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