Airbnbの爆発的成長支えるたった3つの原則 成功する会社にはシンプルなルールがある
ジョーはジョーで、ちょうど自分が借りている3LDKのアパートの家賃の支払いで困っていた。そこでブライアンが引っ越してくれば、とりあえず家賃が少し助かる……そんな思惑もあった。
それでもまだ2人でベッドルーム3つ分の家賃を払うのは厳しい。折しもアパートの家主はさらなる家賃の値上げを宣告してきた。万事休す。
そこで2人はひらめいたのだった。まもなく大きな国際デザイン見本市が、地元のサンフランシスコで開催されることを。そして、見本市を訪れる客で市内のホテルは満室状態、宿泊費が高騰していることを。
彼らはネットを通じて、見本市の参加者に空いている3つ目のベッドルームを貸し出すことにした。朝食とエアベッド(空気を入れて膨らませる簡易ベッド)を提供するのだ。見栄えをよくするため、ウェブサイトまでつくった。「エアベッド・アンド・ブレックファスト」と名付けた。
すると、運よく3人から申し込みが入った。
ユタ州の45歳の5人の父親。ボストンの35歳の女性。30歳のインド人男性。3人とも見本市に参加するデザイナーだ。
これが、自宅の空き部屋を宿泊施設として貸し出す、オンライン・マーケット・プレース「エアビーアンドビー」の始まりである(現在の「エアビー」の本社には、記念すべき最初のゲスト──ベッドの上であくびをしている男性、頭にタオルを巻いて歯を磨いている女性、冷蔵庫に首を突っ込んでいる男性──の巨大な写真が飾られている)。
本業が行き詰まったら「シリアル」まで販売
ちょっとした稼ぎになったサンフランシスコの国際デザイン見本市に味をしめて、次はテキサス州オースティンで開催される、巨大エンターテインメントイベント「サウス・バイ・サウスウエスト」に狙いを定めた。ジョーとブライアンに加え、エンジニアだったネイサン・ブレチャージクを説得してチームのメンバーに迎え、3人はウェブサイトに手直しを加えた。
しかし、世界中から何万人も集まる一大イベントにもかかわらず、彼らの「誰かの空いている部屋とエアベッドを、旅行者に貸し出すサービス」に、まったく客は集まらなかった。
それでも3人はへこたれなかった。今度はデンバーで開かれる民主党全国大会に目をつけて、ウェブサイトをまた少し改良する。すると、部屋を提供してくれる人が増えた。
「やったぞ!」
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