EC企業が駆け込む宅配受託サービスの底力 「アナログ業界」にITの新風を吹き込めるか
平日の夕方、都内の住宅地では見慣れないロゴマークをつけた軽ワゴンからドライバーが宅配便の荷物を選び出していた。
このドライバーは、2013年設立のベンチャー企業「CBcloud」(CBクラウド)が手掛ける宅配受託サービスのドライバーだ。昨年12月に開始したサービスだが、ネット通販を中心に引き合いが急増している。
CBクラウドは元々、荷主と軽貨物ドライバーのマッチングサービス「Pi ckGO(ピックゴー)」で先駆的な存在だが、なぜ宅配受託にまで乗り出したのか。背景には、人手不足の深刻化で宅配便の送料値上げが相次ぐ中、物流コストと配送品質を維持したい、荷主のニーズの高まりがある。
宅配便の値上げで宅配受託の引き合い急増
ヤマト運輸や佐川急便に続き、9月に日本郵便も宅配便「ゆうパック」の基本運賃を来年3月から平均で12%引き上げると発表した。大手3社でシェアは9割を超えるため、大口荷主への影響は必至だ。
EC事業者の中には宅配便大手に頼らず、自社物流網の構築に乗り出す動きが出てきている。あるミネラルウォーターの販売会社は、これまでヤマト運輸や佐川急便に配送を委託してきた。定期購入者向けには一部地域を除き送料無料としてきたが、2社からは数割の値上げを予告されたため、CBクラウドに駆け込んだ。今夏から都内の一部地域で同社の宅配受託サービスを試験的に運用している。
ほかにも同社に相談を持ちかける企業が増えており、現時点で多くの引き合いがあるという。CBクラウドの松本隆一CEOは「宅配受託の需要は今後1年で5倍程度に拡大する」と見込む。
同社への依頼が増えている理由はそれだけではない。
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