定年後に稼げない人と稼げる人の決定的な差 「生涯現役」で働くなら50代の過ごし方が肝だ

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もう1つの理由が、高齢客との親和性だ。大和証券の主要顧客は60~70代の高齢層。彼らにとっては、若手よりも自分と近いシニア営業員と話したほうが安心できる。特に相続など大きな課題が眼前に控えている場合、同じ年代だからこそ打ち明けられる悩みもある。転勤がなく、長い期間担当してくれるのも安心材料だ。

会社に頼らず、自ら新天地を開拓する選択肢もある。シニア起業や転職も活発になってきている。「サラリーマンは何かあったとき、すぐ病院に行けない」。父親が脳梗塞で倒れ要介護となったとき、当時50歳手前の橋詰登志夫さん(68)はそう思った。ヤマハでホールやスタジオの設備施工を担当し、朝6時に家を出て終電で帰る毎日だったが、父が要介護となったのをきっかけに、ホームヘルパー2級を取得。介護ビジネスの立ち上げを考えるようになった。

そこで見つけたのが介護タクシーだ。2005年に「むさしの介護タクシー」(現むさしのケアキャブ)を創業。当初は病院を回っても怪しい業者扱いされる始末だったが、今では順調に事業を拡大。依頼が多いときは同業に振り分けることほど繁盛している。

「50代で中小企業に転職すれば、60代でも管理職として働き続け、評価されれば65歳以降も重宝される」。再就職支援を行うパソナキャリアカンパニーの渡辺尚プレジデントは、シニア転職のメリットを語る。

「自分の強み」がないとシニア転職は難しい

シニアの転職で成功するのは、「自分の強みがはっきりしている人」(渡辺プレジデント)だ。証券会社の支店長で高い営業成績を上げた人、海外事業を一から立ち上げたり子会社再建に奮闘したりした人などがその典型。そのためにも「管理職となっても、現場のプレーヤー部分を少しでも残しておくことが重要」(同)とされる。

逆に転職が難しいのは「大企業の一部署にずっといたような人。変化対応力に欠けることが多い」(人材紹介のジェイエイシーリクルートメントの松園健社長)だとされる。リクルートワークス研究所の大久保幸夫所長によれば、「シニアが生き生き働く必要条件は、『無理なく』『役に立つ』こと」という。今いる会社で長く働くにせよ、起業や転職に踏み切るにせよ、覚えておきたいキーワードだ。

『週刊東洋経済』9月25日発売号(9月30日号)の特集は「50歳から考える定年後の仕事選び」です。 
風間 直樹 東洋経済コラムニスト

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かざま・なおき / Naoki Kazama

1977年長野県生まれ。早稲田大学政治経済学部卒、法学研究科修了後、2001年東洋経済新報社に入社。電機、金融担当を経て、雇用労働、社会保障問題等を取材。2014年8月から2017年1月まで朝日新聞記者(特別報道部、経済部)。復帰後は『週刊東洋経済』副編集長を経て、2019年10月から調査報道部長、2022年4月から24年7月まで『週刊東洋経済』編集長。著書に『ルポ・収容所列島 ニッポンの精神医療を問う』(2022年)、『雇用融解』(2007年)、『融解連鎖』(2010年)、電子書籍に『ユニクロ 疲弊する職場』(2013年)など。

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