これに対して多くの企業は慎重なスタンスを崩さない。厚生労働省の調査によれば、大企業(従業員301人以上)で定年延長や定年廃止に踏み切ったのは全体の1割に満たない。9割超が給与引き下げなど大幅な処遇見直しが可能な、定年後再雇用制度で対応している。
ある情報システム大手の人事部長は、「定年は従業員の処遇を大きく見直せる一大チャンス。このフリーハンドをみすみす手放すことはない。定年引き上げでも一定の処遇の見直しはできるが、再雇用に比べたら大きな変更は難しい」と話す。あるITサービスの人事部長も、「定年引き上げは全員一律で引き上げることへの不安は残る。やはり60歳で一度定年として、そこで再度仕切り直す機会があったほうが都合はよい」と本音を語る。
定年後の再雇用は給料大幅ダウンが一般的
ただ多くの大企業の定年後再雇用では、給与は現役時代の半額という一律の処遇で、仕事内容も現役社員の邪魔にならない程度の補助作業というのが一般的だ。50代半ばの「役職定年」で下がった待遇から、さらに大幅に引き下げられることになる。モチベーションが大幅に低下したシニアが社内に増えれば、後進の指導どころか職場に悪影響を与え、生産性にとってもマイナスでしかない。
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