定年後に稼げない人と稼げる人の決定的な差 「生涯現役」で働くなら50代の過ごし方が肝だ

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これに対して多くの企業は慎重なスタンスを崩さない。厚生労働省の調査によれば、大企業(従業員301人以上)で定年延長や定年廃止に踏み切ったのは全体の1割に満たない。9割超が給与引き下げなど大幅な処遇見直しが可能な、定年後再雇用制度で対応している。

ある情報システム大手の人事部長は、「定年は従業員の処遇を大きく見直せる一大チャンス。このフリーハンドをみすみす手放すことはない。定年引き上げでも一定の処遇の見直しはできるが、再雇用に比べたら大きな変更は難しい」と話す。あるITサービスの人事部長も、「定年引き上げは全員一律で引き上げることへの不安は残る。やはり60歳で一度定年として、そこで再度仕切り直す機会があったほうが都合はよい」と本音を語る。

定年後の再雇用は給料大幅ダウンが一般的

ただ多くの大企業の定年後再雇用では、給与は現役時代の半額という一律の処遇で、仕事内容も現役社員の邪魔にならない程度の補助作業というのが一般的だ。50代半ばの「役職定年」で下がった待遇から、さらに大幅に引き下げられることになる。モチベーションが大幅に低下したシニアが社内に増えれば、後進の指導どころか職場に悪影響を与え、生産性にとってもマイナスでしかない。

生涯現役で働くということを想定しておかなければならない時代かもしれません(写真:naka / PIXTA)

こうした弊害を踏まえ、最近では処遇や役割を見直す動きも出始めている。大和証券の神戸支店に勤務する鶴野哲司さん(68)。1973年の入社以来、個人向け営業一筋で来た。東京・自由が丘を振り出しに、神奈川、宮崎、大阪など、支店を渡り歩いてきた。

現在の肩書は上席アドバイザー。大和証券独自の制度で、実績のあるベテラン営業員を対象に、原則転勤なしで自分の希望する支店で仕事を続けられるというものだ。60歳の定年以降、基本給は下がるが、賞与の算定基準は変わらない。証券会社の場合、基本給より賞与の額のほうが大きいので、年収はある程度の水準を確保できる。

2006年の制度導入当初、雇用延長は65歳までだったが、2013年に70歳まで引き上げられた。そして今年6月には上限年齢が撤廃された。「せっかく制度を見直してくれたのだから、70歳までは辞められない」と鶴野さんは笑う。大和証券がシニアスタッフの活用に力を入れる理由の1つが、社内の活性化だ。若手社員にとって、経験豊富なベテラン営業員は文字どおり、生きた教材。60歳以上の先輩が元気に働いていれば、若手だけでなく中堅社員にも刺激になる。

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