41歳で「1兆円帝国」を築いた前澤友作の真価 好調ゾゾタウンが繰り出す次の一手
マーケティング本部担当の澤田宏太郎取締役も、右脳と左脳という言葉で前澤氏の特徴を語る。「右脳と左脳の切り替えがとても速い。前提や制約がないところで、突拍子のない案を次々と出す。一方、どこかの時点で絶対に『数字で積み上げるとこうなるよね』と言ってきて、非常に細かい単位で考えている。彼の中で右脳と左脳の思考が行ったり来たりしながら、いいあんばいのところにたどり着く」という。
「ヌーの群れの先頭」
EC事業本部担当の武藤氏と同じく経営幹部として社歴が長いのが、物流とシステムの両方を統括するフルフィルメント本部担当の大蔵峰樹取締役だ。もともとソフトウエア開発会社の代表を務めており、創業間もない頃のスタートトゥデイと取引したことがきっかけで、その後、2005年に入社した。
大蔵氏が語る前澤氏の印象はほかの役員のそれとは少し異なる。「もちろん(右脳・左脳の)両方が動いているが、感覚的に右脳メインで決めるときと、理詰め、理詰めの左脳メインで決めるときがある」(大蔵氏)。
今回のPBについて、前澤氏は「企画開始から6~7年かかっている」としており、準備にかなりの時間をかけている。大蔵氏の言葉を借りれば、「左脳メイン」のプランなのかもしれない。
また、大蔵氏は前澤氏の経営手法について「ヌーの群れ」に例える。「ヌーは大群で次の水場を求めて移動する。行き先をいちばん前の1頭が決めているイメージ。あるときは崖の上に登って『こっちに水があるから行こう』という。でもたくさんの群れを連れていくのは大変。なぜそっちにあると思うのかと聞くと、『理由はどうでもいいから、こっちだ』とは言わない。納得する答えを(前澤氏は)返してくる」(大蔵氏)という。
先頭に立つ前澤氏が次なるステージへ向かおうとしているのがPBの展開だ。ただ、EC事業本部担当の武藤取締役ですら「PBの戦略自体は共有しているが、細かいところは把握していない。前澤の指揮の下、別部隊がやっている」と話すのみ。社内でもかなり情報統制が敷かれたプロジェクトである。
どの役員もPBの具体的な戦略について問うと堅く口を閉ざすが、「ゾゾタウンにとってプラスアルファになる。ぜひやってもらいたい」(武藤氏)、「当然やるからには、PBを第2の柱にしたい」(栁澤副社長)と期待を寄せる。マーケティング担当の澤田取締役は「前澤の性格からして普通にはやらない。(PBを発表して)『あぁ、それね』『やっぱりね』とか、絶対に言われたくないだろうから」と語った。
ファッション業界の注目を集めるゾゾタウンの自社ブランド展開。前澤社長の右脳と左脳を駆使したPBとはいかなるものなのか。ベールを脱ぐときが近づいている。
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