神保町で異色出版社を興した男の譲れない志

紆余曲折の末、「作りたい本」にたどり着いた

クラスでは少し浮いている子だった。図画工作の授業で先生に絵を描けと言われても描かない。「なぜ描かないのか?」と聞かれて、

どの書籍もキンキンに尖っている(写真:筆者撮影)

「今は描きたくない」

と答えたという。そんな先生の手を煩わせるタイプの生徒だった。

高学年になって塾に行き始めると、勉強が面白くなってきた。学校で受けたIQ(知能指数)テストは140、偏差値は80超えだった。通っていた進学塾でトップの成績になった。

中学時代は歌舞伎町に出入りしていた

中学受験を受けて、早稲田実業に入学した。中学生の同級生に、歌舞伎町に住んでいる男子がいて友達になった。スナックビルのオーナーの息子で、ビルのペントハウスに住んでいた。

「中1から歌舞伎町に遊びに行ってました。親には『友達の家に行ってくる』と言ってあったからウソはついてないですね(笑)。ゲームセンターやバッティングセンターで遊んだりしていました。街を歩いてると、客引きに『いい子いるよ!!』なんてからかわれたりしてましたね」

時代はバブル景気に向かう頃だ。当時は中学生がお酒を飲んでいても、何も言われない風潮だった。

中学3年生になると、私立の女子中学生たちと100人規模のコンパをやるなど、大人びた遊びをした。

「小学校の同窓会の帰りに数人でディスコに行ったんですよ。500円でフリードリンクでした。それなら中学生でも払える。お酒も飲めて、ご飯も食べられて、こりゃいいやって。そこからディスコに狂って、高校では自分でイベントを組んでパーティをやったりしてました。20歳過ぎぐらいまではディスコにはまってましたね」

おおむね楽しい中学時代だったが、喘息を患って、学校に行けない時期もあった。喘息の発作が起きても当時の薬は吸引してから1時間くらい経たないと効果が表れなかった。母親はそんな時も仕事優先で、一切付き添ってはくれなかった。いつも独りでうずくまって、「こんなに苦しいならいっそ死にたい」と思っていた。

そうして家にいると、会社の社員が社長である自分の父親の悪口を言っているのを耳にすることが何度かあった。普段はペコペコと頭を下げているのに、陰ではボロクソに言っている。そんな姿を見て、「勤め人にはなりたくないな」と思った。

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