只見線「上下分離で災害復旧」に死角はないか もしも追加支援が必要になったら…?

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只見線の利用者数は減少傾向にあり、運転本数も1日3往復程度しか予定されていないことから、線路使用料の収入は期待できず、事実上、自治体が線路を維持して無償でJRに利用させるということになるだろう(JR東日本の資料では「実質無償」とも記載されている)。

このように前途多難な状況が見込まれる路線を上下分離するときには、路線維持という消極的な理由での上下分離だけでなく「積極的な上下分離」を考えられないだろうか。只見線の将来は楽観できないが、その分いろいろな挑戦ができる。日常の生活利用だけでは路線維持は難しいから、観光列車の企画や鉄道施設の魅力を向上させることが求められる。

施設保有を生かした活性化策を

JR東日本による列車運転本数の予定が1日3往復ならば、休止区間の27.6kmが一閉塞(同時に1本の列車しか運行できない)という現状でも線路容量には比較的余裕がある。新たな第二種鉄道事業者の設立となるとハードルは高いが、福島県や沿線自治体、あるいは観光業者、さらには有志の団体その他が実質的に所有する車両の導入をJRと協力して実施するとか、積極的に列車運転に関与することも考えられる。思い切って日中に「線路閉鎖」をして線路で遊ぶことも可能であろう。

地方鉄道路線の維持はますます厳しさを増す。鉄道の施設所有だけで考えるとその維持コストは相当な負担となるであろうが、鉄道を維持することで地域全体への経済効果が図れるのであれば有用なことである。

JR東日本の資料でも「福島県は、JR東日本とともに主体的に只見線の利用を促進」とある。これまでの観光振興や利用促進策に限らず、施設保有者として鉄道の施設そのものや余裕のある線路容量を生かした、自主的かつ「攻め」の上下分離のあり方が見いだされることに期待したい。

小島 好己 翠光法律事務所弁護士

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こじま よしき / Yoshiki Kojima

1971年生まれ。1994年早稲田大学法学部卒業。2000年東京弁護士会登録。幼少のころから現在まで鉄道と広島カープに熱狂する毎日を送る。現在、弁護士の本業の傍ら、一般社団法人交通環境整備ネットワーク監事のほか、弁護士、検事、裁判官等で構成する法曹レールファンクラブの企画担当車掌を務める。

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