駅や列車で深刻化する「キャリーバッグ」問題 通行の邪魔、思わぬ「凶器」になることも

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これについては、調査対象者の6割以上が「小さな子ども連れの家族」と回答している。旅行中の親は子どもの世話で手いっぱいで、とても他人への気遣いまで頭が回らない、ということなのかもしれない。

一方で、1割ほどの人々は「自分自身もバッグを乱暴に扱い、他人に迷惑をかけた経験がある」と後悔。その理由として「乗り物の出発時間が迫っていたため」という声が最も多い。急いでいるときは周りのことなど気にしてはいられないだろう。

キャリーバッグによる事故として最も怖いのは、「地下鉄駅エスカレーターでのバッグの転落」だ。たとえば、ロンドンの地下鉄駅の多くは地下深くに設けられているが、エスカレーターはあってもエレベーターがない。大きなスーツケースをエスカレーターに載せて上へ下へと運ぶ旅行者をたくさん見掛けるが、手が滑ったりするなど何かの拍子にバッグが転がり落ちたら、ケガ人が出ることは必至だ。今のところ、幸いなことに重大事故が起きたことはないのが救いといえようか。

これは許せない、荷物を運ぶ人の行為

1. キャリーバッグを転がす人が、なんの前触れもなく、突然人混みで停止する。
2. 駅や空港でキャリーバッグを持って歩いている途中、立ち止まって「セルフィー」を撮る。
3. キャリーバッグのキャスターで足を踏まれる。
4. 混み合う電車でリュックサックを背負ったまま乗ってくる、あるいは車内で下ろさずにいる。
(ローリング・ラゲージ社の調査による)

2輪キャスターのバッグを真横で引くのは無理

キャリーバッグを引きずらず、自分の体に引きつけて運ぶことができればこうしたトラブルの多くは避けられる。しかしキャリーバッグの作りによっては、車輪が2つしか付いていないものもある。これは構造上、体に寄せた状態でバッグを引っ張るのは困難で、どうしても引きずる動きしかできないことになる。

キャリーバッグはこのような持ち方が「比較的安全」と奨励されている(写真:tomos / PIXTA)

これが、一般的な飛行機に預けられる最大サイズのスーツケースとなるとかなりの幅を取る。外国人旅行者の中には、平気で両手に2つのバッグを持って引っ張るツワモノもいるが、そうなると2m近くもの幅を食う。どう考えても、日本のラッシュアワーの駅では「邪魔もの」といわざるをえない。

日本では、キャリーバッグの運搬について「できるだけ自分に寄せて運ぶように」と奨励されている。そんな背景もあり、自分の真横で直立させた状態で転がして運べる「キャスター4輪付き」のバッグが多く売られている。このタイプだと、バッグを後ろに引きずらずに移動できるので、周りの人への影響が最小限で済む。

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