安倍首相、「冒頭解散」で10.22選挙に突入か ネーミングは「出直し」より「モリカケ隠し」?

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一方、米大統領初来日時には今年2月のフロリダに続く、東京近辺での「日米首脳ゴルフ会談」の企画もあるだけに、新政権発足後のほうが首相が余裕をもって接遇できる。となれば特別国会の召集手続きも踏まえて、9月28日解散・10月22日投開票が本命となるが、その間の北朝鮮危機への対応も含め、政治的にもまさに綱渡りの日程だ。

党内の冒頭解散慎重論もこうした状況を踏まえてのもので、「変に小細工せず、臨時国会で堂々と与野党論戦に臨み、トリプル補選の結果を見てから、解散日程を決めるのが王道だ」(党長老)との指摘も的外れとは言えない。

3補選はいずれも自民現職の死去によるもので「過去の弔い選挙では負けたことがない」(自民選対)ことに加え、離党ドミノによる党内混乱で党支持率が低迷する民進党の窮状をみても、「よほどのことがなければ全勝」(同)とみられているからだ。そうなれば政治・外交日程にも余裕が出るうえ、解散の大義名分も立てやすい。

第2次安倍政権発足以降、政局の節目ごとに首相との与党党首会談を重ねてきた公明党の山口代表は、夏前までは「来年秋の自民党総裁選後の解散が『相場観』だ」と繰り返してきた。1強を誇り「総裁3選」が既定路線化していた首相にとって「国会での早期改憲発議も狙うなら解散は来年秋まで引っ張るはず」(公明党幹部)と判断していたからだ。

山口代表は改憲発議先送りを狙い宗旨替え?

しかし、森友・加計疑惑や通常国会終盤での強引な国会運営への批判に加え、自民議員の相次ぐスキャンダルもあって、東京都議選(7月2日)で自民党が歴史的惨敗を喫したことから、山口氏は「政治は常在戦場だ」と早期解散説に宗旨替えした。併せて、首相の目指す早期改憲発議についても「国民が真っ二つに割れている現状では政権を失うリスクも大きい」として改憲発議が絡む時期の解散には反対する考えを明確にした。

解散に備えて自民党などが独自に実施してきた選挙情勢調査では一貫して「自民は30~50議席減」との結果が出ていたとされる。全国の小選挙区で共産党も含めた野党統一候補が擁立されるという前提ではあるが、内閣支持率が3割以下に落ち込んだ夏の時点では「解散すれば衆院での改憲勢力3分の2の維持は困難」(自民選対)との見方が定着していた。

このため、首相が年内解散に踏み切るのは「20年改正憲法施行という『安倍改憲』のスケジュールを断念した場合」(自民幹部)とみられていた。山口代表の改憲発議先送り論は、連立与党の党首として「改憲を争点としない年内解散」を首相に促したともとれる。

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