安倍首相、「冒頭解散」で10.22選挙に突入か ネーミングは「出直し」より「モリカケ隠し」?
これに対し、野党陣営は事態の急変を受けての選挙準備で大わらわだ。17日には民進、自由、社民の野党3党首会談で衆院選での選挙共闘と臨時国会での統一会派結成を協議する予定だったが、見送りを余儀なくされた。民進党の前原代表は衆院選での共産党との選挙共闘に慎重な立場を崩していないため、自民候補打倒のための各小選挙区での「4野党統一候補」擁立は困難との見方が広がる。
一方、次期衆院選の"台風の目”は「小池新党」の参戦とみられている。小池都知事側近で先に、地域政党「都民ファーストの会」の国政版の「日本ファーストの会」を結成した若狭勝衆院議員(無所属)は、16日に衆院選の候補者選定の場ともなる政治塾「輝照塾」の初会合を開催し、約200人の塾生が結集した。
講師として登壇した小池氏は「東京に続いて日本も大改革を」と檄を飛ばした。小池氏に国政進出を任された若狭氏は、民進党を離党して「新たな保守の受け皿づくり」を目指す細野豪志元環境相らとも会談を重ねており、同氏に追随する形で離党した3人の民進党議員も加えて、政党要件の「国会議員5人以上」を満たした「小池新党」を解散前後にも立ち上げる考えとされる。
ただ、若狭氏は「新党名に『ファースト』は使わない」と語っている上、「小池氏が代表でない新党では有権者の支持は得にくい」(選挙アナリスト)との見方が大勢だ。しかも、急ごしらえの新党では選挙のための組織、資金の手当ても極めて困難とみられる。候補者が「寄せ集め」となる可能性も含めて「小池新党」の前途にも高いハードルが並ぶ。
政治的に大正解の大博打だが「反安倍」拡大も
こうしてみると、首相が冒頭解散を決断するのは「政治的には大正解」(自民幹部)ともみえる。解散のネーミングは結果的に「北朝鮮危機対応」や「アベノミクス完遂」などのための「出直し解散」と、森友・加計疑惑を説明抜きで払拭するための「モリカケ隠し解散」が絡み合うとの見方が多い。
内閣支持率低下の主因となった「首相が信頼できない」が有権者の間で拡大すれば、"弱体野党"に「反安倍の追い風」(自由党幹部)が吹く可能性も否定できない。「選挙はふたを開けるまで分からない」というのが永田町の慣用句。総裁3選による史上最長政権と任期中の改憲実現を賭けた首相の大博打が「大当たり」となるかどうかはまだまだ予断を許さない。
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