国内航空券予約サイト「CM合戦過熱」の舞台裏 なぜ売上高の過半を広告費に投じるのか
取扱高でみればエボラブルアジアは2017年9月期に約350億円の計画を立てるのに対し、広告費は20億円強を見込む。アドベンチャーは2017年6月期の実績が取扱高375億円に対し、広告費が36億円とほぼ10%の水準だ。
とはいえ、両社が規模に対して、巨額の広告費を投入するのは、得意とする国内航空券予約でシェアを確保するためだ。
現在、旅行業界ではネット専業で、航空券やホテルなど単品を販売するオンライン旅行会社(Online Travel Agency、OTA)が急激に成長を遂げている。
OTAでは、世界のホテル予約は米エクスペディアと米ブッキングドットコムが、それぞれ取扱高で約8兆円前後に成長。国内では楽天トラベルとリクルートライフスタイルが運営する「じゃらんnet」の2社が高いシェアを誇る。
激戦だが空白地帯がある
一方で、エボラブルアジアの分析によれば、「空白地帯となっているのが、国内の航空券予約市場だ」(吉村社長)。
2012年にピーチ・アビェーションやジェット・スターといったLCC(低価格航空会社)が日本でも事業を開始。当初は運行が遅延したり、取りやめになるケースも相次いだが、ここ数年で大手並みの水準になった。「出張や旅行に行くのに、LCCでもいいと考える人が増えた」(吉村社長)。
同社によれば、国内航空券予約の市場規模は1.5兆円で、そのうち9割を日本航空と全日空が占める。残り1割の市場をめぐって、エボラブルアジアとアドベンチャーが熾烈なシェア争いを繰り広げている構図だ。
両社は2020年度までに、取扱高1000億円という目標を掲げて、事業の拡大を急いでいる。「今は巨額の広告費を使っているが、リピーターが増えれば、獲得コストは下がってくる」(エボラブルアジアの柴田祐亮CFO)。
ただ、国内航空券のシェアを押さえても、その先には海外OTAとの熾烈な競争も待っている。果たして、遅れて産声をあげた日系OTA2社は生き残ることができるのか。
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