国内航空券予約サイト「CM合戦過熱」の舞台裏 なぜ売上高の過半を広告費に投じるのか
エボラブルアジアは今回、自社の航空券予約サイト「エアトリップ」を大々的にアピールする。これまで「空旅.com」などさまざまなサイトを展開してきたが、今回を機にエアトリップに統合。オリエンタルラジオを使ったテレビCMやWeb広告を大量に投下し、知名度向上を狙う。
一方、同じく国内航空券予約に強みを持ち、2014年に株式公開したアドベンチャーは8月1日からモデル、タレントの玉城ティナさんをイメージキャラクターに登用。主力サイト「スカイチケット」の知名度向上に向け、テレビCMやネット広告を投入している。
売上高の過半を広告費に投じる理由
この2社が特徴的なのは売上高に対する広告費の比率が高いこと。エボラブルアジアの今2017年9月期の売上高は61億円の見通し。来2018年9月期について会社側は見通しを開示していないが、『会社四季報』2017年秋号では80億円と予想している。
吉村社長の言葉のとおり、30億〜50億円を投入するとすれば、ほぼ売上高の半分近い水準を広告費に突っ込む計算になる。そのためエボラブルアジアはこの7月、クレディ・スイス証券を引受先に新株予約権を発行。向こう3年で最大100億円を調達し、そのうち80億円をM&Aに、20億円を広告費に充当する計画を立てる。
一方のアドベンチャーは前2017年6月期は売上高52億円に対し、36億円を広告費に投入。今後2年間で広告費に100億円を充当する計画だ。
この2社が売上高の半分近い水準を広告費に投じているのには理由がある。従来のジェイティービーやエイチ・アイ・エスといった伝統的な旅行会社が、パックツアーの売り上げを自社の売上高として計上していたのに対して、この2社は航空券手配の手数料のみを売上高に計上しているからだ。
「わかりやすくいえば、伝統的な旅行会社の粗利が、オンライン旅行会社の売上高にあたる」(日系オンライン旅行会社の財務担当役員)。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら