FPが金融商品を熱心に勧めてきた時の対処法

本当に顧客の側に立っているか疑ってみよう

少し前のことになりますが、金融庁の総務企画局政策課総合政策室の金融税制調整官である今井利友さんとFP業務のあり方について、さまざまな議論をさせていただきました。FPの経済状況について憂慮を持っておられると同時に、心あるFPの活躍に期待しておられ、心強く感じました。こうした金融庁の消費者本位の姿勢にお応えするためにも、私たちFPは、自らの業務運営が、真に「顧客本位」なものになっているのかを真摯に見直すべきでしょう。

その「実践の第一歩」として、私は、これまでどおり、事業継続に必要な合理的報酬の下で、お客様に対して一切の利益相反行為を行わないことを改めて確約し、明文化して、自分が経営するオフィス・ベネフィットのホームページで公表しました。「FPとしてのフィデューシャリー・デューティー宣言」としてPDFファイルでも掲載しておりますので、特にFPの皆様に読んでいただき、忌憚のないご意見を頂戴したいと思っています。

本当に顧客本位で働いてくれるFPと付き合おう

自分自身で宣言を書いてみて、FPがフィデューシャリー・デューティーについて考える際に、いくつかポイントになる箇所があると感じました。

フィデューシャリー・デューティー宣言は、前出のように7つの原則からなっており、それぞれの原則に従うか、あるいは、従わない場合はその旨と理由を説明するようになっています。

宣言の策定・公表に関する「原則1」はまさに原則をうたったものなのでいいとして、残りの6つについてはもっと深掘りしないといけません。まず、顧客の最善の利益の追求について述べる「原則2」では、相談業務にあって顧客の利益を尊重することのほかに、相談以外のセミナー、記事や書籍の執筆等の情報発信についても、良質で、特定の金融商品等の販売につながることのない独立性を確保することを述べるべきだと思います。

ただし、この項目は、セミナー講師や執筆など、FPにとっては重要な収入源と直結する問題でもあります。ですから、どの程度踏み込むべきかについては、私の場合も熟慮したつもりです(結局、「販売協力」を目的とした情報発信はいっさいしないと「吹っ切る」ことにしました)。

「利益相反の管理(原則3)」では、金融商品などの販売の加担につながる取引は現在いっさいしないと宣言するのはもちろん、これを「将来にわたっても行わない」と宣言しないと、不十分だと思いました。

「手数料の明確化(原則4)」、「重要な情報のわかりやすい提供(原則5)」については、特にお客様が負担するかもしれないコストとリスクについて、「事前に」かつ「わかりやすく」提供することを述べることが大事でしょう。

また、原則6の「顧客にふさわしいサービスの提供」は、いさかか微妙な問題をはらむ項目です。実際には、たとえば、金融資産の運用であれば、ほとんどすべてのお客様にとって「最も効率のいい運用を、適切なリスク量で」行うことが正解になります。

しかし、現実の金融ビジネスでは、「顧客のニーズ」を都合よく曲解して(たとえば、年金生活者だから毎月の分配金にニーズがあるといった、不適切な設定を行い)、顧客にとって最善ではない運用商品の選択やセールスがなされているのが現状です。せっかくフィデューシャリー・デューティー宣言をするFPとしては、こうした「業界に都合のいい金融ビジネス」とは一線を画したいと思います。私は、(顧客の損得にとって)正しい結論は曲げないけれども、顧客の状況に応じて情報を提供する努力をするという建て付けで、この原則に応えることにしました。

最後の原則7である「遵守体制」は、1人ないし、少人数でビジネスに臨むことが多いFPには、効果的な体制を提示することが難しい項目です。私の場合は、自己評価と課題を率直にホームページ等で定期的に公表することをもって、自己や第三者のチェックを行うと宣言することにしました。

私の拙い試みが、FPの皆さんのご参考に少しでもなると幸いです。また、同じ志を持つFPが増えることを心から願っています。

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