総合職の「横並び給与」にはもはや無理がある 「大事な戦力が辞める」前に動く企業も

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こうした求人難の状況で果敢に取り組まれるようになってきたのが人材流出の阻止。いわゆるリテンションと呼ばれる活動のことです。辞めると申し出があってから引き留めるのでは遅すぎます。辞める迷いが出たときに「でも、いまの会社は魅力的だ」と感じてくれるための職場環境の改善に力を入れるようになりました。

たとえば、オフィスをきれいにする、福利厚生を充実させるといったことです。加えて、待遇面を改善する企業が増加。東京商工リサーチの調査によると、2017年4月に賃上げを実施した企業は約8割に上っています。

ただし、日本の会社での賃上げは全社員を対象に「薄く広く」行われる施策が大半。金額にすれば全社員対象に数万円程度のアップです(社歴や役職などで違いはありますが)。それでも、給料日に振り込まれた給与が従来より増えていますから、うれしいのは間違いありません。ならば「この会社でもう少し頑張ろう」と退職を考えていた社員を思いとどまらせることになるケースはあるでしょう。

実際、薄く広くの賃上げは人材流出の阻止に効果的であると断言する会社もあります。取材した人材派遣会社では、4月に薄く広くの賃上げを実施。それから数カ月間、退職者が減少したようです。

薄く広くの賃上げでは効果がない職種

ただ、こうした薄く広くの賃上げでは効果がない。もっと、大胆な昇給が可にならないと貴重な人材を引き留めるのは難しいと指摘する人もいます。詳しく聞いてみると、専門性が高く、希少性が高い職種の人材が、会社の競争力や企業価値を高めている会社でした。

たとえば、先ほどの調査で求人数が大幅に増えていると紹介された、機能性素材の開発を担うエンジニアがいる化学品メーカー。あるいは投資運用経験者が必要な金融機関など。こうした人材が流出すると、ダメージは計り知れないものがあります。そこで、引き留めのため市場価値に見合った報酬を支払いたいのですが、それを阻むネックが日本企業、特に大企業には存在します。

ネックとは新卒採用組における社内同期とのバランス調整です。新卒で入社して、たまたま配属された部署でかかわった仕事が専門性、希少性の高い仕事であった人。一方、同じ年に入社した同期社員は営業とか管理部門で仕事をしています。そうなると両者の間で、市場価値的には大きな違いが出てきます。

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