「派閥」というと普通は集団のことを言いますね。そして、「派閥」という言葉には、政治的な利害関係を真ん中にした集団、という意味が含まれていることが多いと思います。つまり、力のある誰かの「派閥」に属することで、自分も「得をする」といった意味合い、または、誰かと志と行動を共にするといった意味合いがあるでしょう。
ご相談文だけでは判断しかねますが、今の上司と前の上司はそれぞれに、自分を取り巻くグループを作っている、ということなのでしょうか。だと仮定して話をしますが、経験から言うと、その2つの派閥のどちらに属しても、あなたに大きな得はないでしょうね。
派閥の前提は、あくまで「組織に影響力のある人」を中心にした集団です。今の上司は、おそらく部下を家族のように愛し守るという意識が強く、一方で支配的なにおいもぷんぷんします。家族以外の人と接するときに、いちいち目を光らせて、「誰と何を話したか」「自分の下からいなくならないか」を疑り深くチェックするような、面倒な親みたいなタイプの上司は、ほとんどの場合は仕事ができない、と思ったほうがよいと思います。
本来は、部下の強みや個性にあわせて、多くの人とかかわらせて仕事の経験を積ませるべきところです。それなのに、自分の下に囲ったままにしようとした揚げ句に、外の人と接したことを責めるなんて! 人としての器も小さいし、自分自身も頑なな仕事ぶりで評価を下げてしまっているに違いない。
きっと、愛情深くて人間味にあふれる人なのだとは察しますが、その人についていっても、その人が自分を超えて部下が成長していくことを喜び、支援するとは考えにくい。部下はその人以上の存在にはなれないと思ったほうがよいでしょう。
前の上司はどうか
それでは、前の上司はどうか、というと、私には彼も今イチに見えます。前いた部署の部下をかわいがり続けるのであれば、普通は今の上司にそれなりに気を遣うものです。部下が職場で居心地が悪くなったらかわいそうだし、今の上司とは違う判断やアドバイスをして、うっかり否定してしまうことにだってつながりかねませんから。
心ある人だったら、抽象的な話にとどめたり、今の上司へつなぐアドバイスをしたり、あるいは本人に言いにくい指摘をして励ましたり、その人が今の職場で活躍できることを支援するものだと思います。そして、これまで見てきた、私の心ある元上司たちは、必ずといっていいほど裏で現上司にフィードバックしていたと思われます。
若い頃は、「話が筒抜けで嫌だなぁ」と思ったりしたものでしたが、変なフィードバックなどはしていませんでした。私の成長を支援するための情報を提供している、というか、そういったことだったのではないかなと思います。
それを聞いた上司がちゃかすように、「○○さんと飲んで、ずいぶんくだを巻いたらしいじゃない?」「オレがしかられたじゃん、勘弁してよ」などと伝えてきて、「すごく真剣に相談したのに!」「それであなたはどう思ったのさ?」と腹立たしいような悲しいような気持ちになったこともありましたが。
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