「貯蓄から投資」加速したい、金融庁の思惑

26年度税制改正、「預貯金」も対象に要望

金融庁がまとめた「平成26年度(2014年度)税制改正要望」が、話題を呼んでいる。金融所得課税一体化を目指す改正項目のなかに、「預貯金を新たに損益通算の対象とする」ことを求めているからだ。

損益通算は、金融商品から生じたキャピタル損益(値上がり・値下がりに伴う損益)、インカム損益(配当や利息などに伴う損益)を合算できる仕組み。従来、損益通算の範囲は、上場株式と公募株式投信と規定されてきたが、平成25(2013)年改正では、新たに特定公社債、公募公社債投信が加わることが決定している。

金融庁はこれらのほかに、「デリバティブ(金融派生商品)取引、預貯金」を損益通算の対象に加えるという範囲の拡大を26年度の税制改正要望で求めた。

利子所得は限定的なのに…

とはいえ、現在のような超低金利下において、預貯金から発生する利子所得はきわめて限られたものになっている。預貯金は基本的に元本保証であるため、損失発生は想定できず、損益通算の際には、他の金融商品から生じた損失の穴埋め原資となるが、預貯金の利子所得が限定的であるため、損益通損効果は乏しいという見方になる。

一方、損益通算は一般的な口座ではなく、特定口座を開設することが条件となっている。したがって、現状の制度である限り、損益通算の対処となる預貯金も特定口座内の預貯金となるものと考えられる。これを受けて、金融関係者の間では「なぜ、あえて預貯金を損益通算の対象に加えるのか」という金融庁の思惑をめぐる話題が、持ちきりになっている。

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