食べ物の好き嫌いが多い子に親ができること 大人よりも友だちの影響がはるかに大きい

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子どもたちが歳を重ねるにつれて、同年代の集団に対して忠誠を表明することはますます重要となってくる。私はいつもおもしろく観察しているのだが、思春期前の子どもたちは家族で買い物に行くと、親の前後10歩ほど離れたところを歩く。仲間たちにその姿を目撃されたときに「私はこの人たちとは違うのだ」という立場を明確にさせるためなのだ。私は〈彼ら〉とは違うのだと。この行為は子どもたちが親を愛しているかどうかとは関係ない。

夫と私は異なるタイプの子どもを2人育ててきた。娘たちは同じ地域に住み、4学年違いで同じ学校に通った。小学校時代はそれぞれが同じような仲間集団に属していたが、高校に入るとそれが変わった。上の娘は優等生グループ、下の娘は不良グループに属すようになった。

上の娘はコンピュータサイエンティスト、下の娘は看護師となり、最終的には2人とも立派になった。上の娘はその方向に向かって一直線に進んだが、下の娘は紆余曲折を経てそこに達した。

同じ親に育てられたが、まったく違う人間だった

娘たちは同じ親に育てられたが、きょうだいとは往々にしてそうであるように、まったく違う人間だった。上の子は親の導きをほとんど必要としなかった。自分のしたいことをしたいようにしたが、それはたまたま私たち親が望んでいることと一致した。

下の娘には私たちの導きはほとんど通用しなかった。聞いたそばからそれをはねつけた。それは彼女の仲間集団が掲げる目標や価値観と相いれなかったからだ。彼女の親である私たちはいらだち、腹を立てた。彼女もまた私たちに腹を立てることが多かった。

下の娘は13歳にしてたばこを吸っていた。彼女が言葉を話すようになって以来、私が禁煙主義を吹聴しつづけてきたのにもかかわらずだ。

未成年の喫煙を防ごうとしたとき、「シワだらけになる」「性的不能になる」「がんで死んでしまう」などと、たばこが及ぼす健康上の害を伝えても無駄だ。大人が喫煙を好ましく思わないからこそ、10代の少年少女はそれに惹かれるのだ。

同年代のタレントや有名人に講演を依頼することもやはり意味がない。講演者は裏切り者とみなされるだけだ。大人に貧乏くじを引かされた哀れなやつとしか見てもらえない。

たばこを入手しにくくすることさえ効果薄だ。アメリカで、未成年者にたばこを販売した店を州をあげて大々的に取り締まった事例があるが、それでも未成年の喫煙はなくならなかった。たばこの入手を難しくしたことで、ますます彼らのチャレンジ精神を駆り立ててしまっただけだった。

『子育ての大誤解――重要なのは親じゃない』(早川書房)書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします(本書は上・下2巻の文庫版です)

大人が思春期の子どもに及ぼすことのできる力は限られている。子どもたちは独自の文化を構築するが、それは仲間集団ごとに異なる。彼らが大人文化のどの部分を取り入れ、どの部分を放棄するのか、そして新しく独自に考案するものがどういうものであるか、私たちには予測もつかなければ、それを決めることもできない。

ただし、まったく無力なわけでもない。最良の策は、未成年者がたばこを1箱買うごとにたばこ会社のお偉いさんたちが愉快そうに甲高く笑う様子を描く広告キャンペーンを張ることだ。だまされやすい子どもたちに商品を売り込むため、喫煙をカッコいいものとして魅せる広告を考案している様子を描けばいい。喫煙を、子どもたち自身が望むことではなく、大人が子どもたちに望むこととして描けばいいのだ。

ジュディス・リッチ・ハリス 教育研究者

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ジュディス・リッチ・ハリス / Judith Rich Harris

ハーバード大学大学院心理学研究科で修士号を取得後、在野の研究者として心理学の教科書の執筆などに携わる。

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