京都の老舗和菓子屋を救った若女将の超才覚

創業200年の伝統を現代へ通用するワザに

味方だと思っていた夫からも、まさかの大反対。全く立ち行かなくなってしまった由依子さん。さらに悪いことは続く。酔って歩いていた良和さんが突然転倒。すぐさま病院で検査を受けた結果、夫が脳腫瘍を患っていることが判明した。

「亀屋良長」は創業200年の歴史を持つ老舗和菓子店

当時、由依子さんは夫が病に倒れて現場を離れている中でも、早朝から開店準備を手伝い、日中は女将としてお店に立つ。そして閉店後は夫の身の回りの世話の為に、病院へ駆けつける毎日を送った。

それでも、老舗の窮地を救うべく「若い客を新たに取り込む」という構想をあきらめなかった。

改革したい若女将 VS 伝統を守りたいベテラン職人

まず由依子さんが目をつけたのは、長年変えていないという商品の見直し。中でも最も売れていなかったのが「懐中おしるこ」と呼ばれる和菓子だった。お湯をかけるだけで、おしるこになる昔ながらの商品だが、売り上げは平均1日2個。1シーズンで200個しか売れていなかったが、これを若者向けにアレンジできないかと試行錯誤を繰り返し、由依子さんにはあるアイデアが思い浮かぶ。

早速そのレシピを職人に見せるが、現在71歳の古株職人、山下さんに断られる。それでも粘り強く頼み続けると、職人さんが折れた。

「じゃあ、1回だけやで」(職人さん)

ベテラン職人の抵抗にもめげず、若女将の奮闘は続いた

由依子さんの誠意が伝わり、「懐中おしるこ」をベースに新商品として試しに作ってもらうことに。するともともと1シーズン200個だった「懐中おしるこ」に対し、新商品の売り上げは同2万5000個にも達した。なんと125倍である。

いったい由依子さんは、どんなアイデアを加えたのか。生まれ変わった新商品は、その名も「おみくじしるこ宝入船」。お湯を注ぐとおしるこが完成するという基本コンセプトこそ従来品と一緒だが、違う点がある。それは、桜、山、紅葉、ハート、亀と、ランダムに入った5種類のかわいらしいゼリーで運勢が占えるという女性のハートをくすぐる遊び心である。

これが若い女性を中心に大ヒットした。これで由依子さんの改革が波に乗ったかと思いきや、長年の伝統を守ってきた大きな山は、そう簡単には動かない。

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