建設業界 厳しい事業環境のなか、不動産事業の下支え効果に着目 《スタンダード&プアーズの業界展望》


建設資材価格の高騰

世界的な資源高が資材価格を押し上げ、労務費の上昇とともに建築費上昇の要因となっている。主要な資材価格が上昇するなか、ビルや住宅建築に使うH形鋼や棒鋼の価格は今年初めから5割以上上昇、4月にはセメントも1割上がった。ゼネコン各社はコスト削減策や原価上昇分の施主への価格転嫁に取り組んでいるが、交渉は道半ばで、浸透するのに時間がかかるだろう。国土交通省は鋼材と燃料油について、公共工事の価格転嫁を容認する単品スライド条項の運用ルールを定めたが、鹿島、大成、大林組へのメリットは限定的とみられる。過去に受注計上している民間工事で資材価格が上昇し、設計変更時の見積りで施主に価格転嫁ができないリスクが残るためだ。特に、大成は工期の長い海外工事の採算が資材高の影響を受けるリスクが高い。

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不動産関連事業による利益下支え効果

国内建設投資の長期的な減少が予想され建設事業の収益性悪化が顕著となる一方で、大手ゼネコン3社では不動産関連事業の営業利益は2008年3月期の連結営業利益の5割以上に達するなど、利益貢献が高まった。長引く低金利や証券化、JREIT市場の成長を背景に、ゼネコン各社は不動産関連事業に注力したが、スタンダード&プアーズでは不動産開発・賃貸事業は市況変動に左右されやすいため、建設事業以上に競争が厳しく、高い事業リスクを持つとみている。各社ともこれまでのところ、投資枠の設定や投資ガイドラインの設定、出口戦略の多様化によりリスク管理体制を強め、不動産関連事業の収益性は、建設事業の利益率の下支え要因となっている。しかし市況の急激な悪化を受け、下支え効果は少なくとも今期は弱含む見通しだ。各社の厳格なリスク管理体制の構築・運用が一段と重視され、中長期的に建築事業を補完する収益源となりうるポートフォリオが確立されることが望まれる。マンション販売などの事業で、棚卸資産の減損が必要になるなど財務体質の悪化につながる場合には信用力上ネガティブに働くだろう。

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