堀江貴文氏が考える「余った刑務所の使い道」 「世界最高のサバゲーホテル」もありか?

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木下:まず、「仕様設計」(条件の設定の仕方)に問題があると思います。確かに、「国が耐震工事をする」と言っていたのに、直すカネがなくなったから「コンセッション方式」(所有権は公的機関だが、運営は民間企業に任せる)にして、同時に耐震工事もやってもらうというケースは、珍しくありません。

でも、そのときに「文化財として守ってくれ」という市民の声に押される形で公募前に重要文化財指定を受けちゃったりすると、民間としては運営しづらくなる。だから2社しか手を上げなかったんじゃないかな。

野尻:それに、審査する人を見るとわかるけど、収支を含めて経営に詳しい人がいないよね。

木下斉氏「外国ではコンセッション方式は珍しくない。でも、事前にあまり条件をつけすぎると民間の運営会社が手を上げづらくなる」(写真:パブリック・アライアンス事務局提供)

堀江:この審査員の人たちって、どうやって選ばれるんですか?

木下:分野ごとに、こういう審査員に指名される先生が、ある程度決まっていることは多いですよね。

馬場:僕はこういう場合の審査員になることもあるので、審査員がどう決まっていくかというプロセスを見ることもあるんです。公募の場合、公募要項の中身、それを審査する審査員の顔ぶれ、審査の点数や割り振りは、決定的に重要な要素であるにもかかわらず、それは行政の中で極めて閉鎖的な形で決まっています。特に審査員は、かなり行政の恣意性によって決まっている。

木下:この公募の審査員の決定プロセスがどうだったのかはわかりませんけど、ただ、ここの仕様設計は、耐震改修にめちゃめちゃカネがかかるプランになっていますよ。資料を見ると耐震改修の方法についてもいろいろと制限が設けられている。でも本当にその耐震改修の方法しかないのか。本当にその工法でやる必要があるのかという議論はあってもいいと思う。

野尻:重文になってしまったら耐震工事の費用があれくらいになってしまうというのはなんとなくわかる。だけどそうなると、いいアイデアを出せるのは、資金力のある大企業だけになってしまいますよね。

行政側が入札の要件を全部決めるプロセス自体を変えよ

馬場正尊氏「公募用件でクリエーティビティを発揮できる枠が決められてしまい、その枠の中でしか踊れない。行政側に新しい入札のやり方を提案することも重要」(写真:パブリック・アライアンス事務局提供)

堀江:似たようなことって多いと思う。僕は2025年大阪万博誘致のための大阪府のアドバイザーをやっていて、誘致のためのプレゼンテーション動画を作成するときに、そのコンペに参加した電通や大広が出してきた「絵コンテ」を見たら、ごくごくありがちなテンプレ(雛形)のようなプランでがっかりしたことがある。

でもこれって、役人が入札の要件を全部決めてしまうプロセス自体が変わらないと、同じような結果になるんだと思う。

馬場:公募用件で、クリエーティビティを発揮できる枠が決められてしまっていて、その枠の中でしか踊れない状況になってしまうんですよね。

野尻:そこは僕らが行政の方たちに最も訴えたいポイントだよね。公共施設を民営化するときのプロセスを変えてほしい。有力なアイデアを出せる民間企業や、補助金を当てにせず自立運営できる企業はたくさんあるのに、公募のプロセスでそういう企業が参加できなかったり、能力を十分に発揮できないようになっていたりすることがあまりに多い。

木下:そのためにも、もっといろんな事業者が提案してくるような仕様にしないとね。国有財産の運営事業なのに、2社の提案しか受けられない仕様書で募集されていること自体がおかしいと思う。

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