堀江貴文氏が考える「余った刑務所の使い道」 「世界最高のサバゲーホテル」もありか?

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――日本に刑務所は、4カ所の社会復帰促進センターを含めて69カ所あります。一方、法務省の『犯罪白書』によると、刑法犯の認知件数は2002(平成14)年をピークに、検挙人員は2005年をピークに年々減少している状況です。刑事施設の収容率も2015年末の段階で65.1%にとどまっており、こちらも年々低下しています。

そうした中、廃止され、新たな活用法を模索する刑務所が出てきています。これから紹介する旧奈良少年刑務所もその一つです。赤レンガ造りの「明治の5大監獄」の一つで、建設当時の姿のまま現存しており、デザイン面でも優れていることから2016年に重要文化財の指定を受けました。その後、法務省は民間からの事業提案を募集し、今年5月、ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツを中心とする共同事業体が優先交渉権を獲得しました。

奈良の刑務所の運営主体決定はどう決まったのか?

奈良少年刑務所の敷地は10万㎡超。今後はホテルやレストランなどが新設予定。5㎡の独房を3室つなげて客室にするなどの計画になっている(写真:morningright/PIXTA)

野尻:今後、刑務所は余っちゃう。だからこの奈良のように廃止され、入札で民間に運営を委託する施設は相当増えてくるらしい。そこで気になるのが、この旧奈良少年刑務所の運営の優先交渉権を得た民間企業がどう決まったかの過程についてです。事務局には事前に調べておいてほしいとお願いしておきました。

事務局:経緯はこうです。まず2015年度に建物をどう保存し活用していくかの調査がなされ、2016年8月には民間事業者に、この施設を活用するにあたっての意見を出してもらう「サウンディング」がなされました。同年10月に重要文化財(重文)指定された後、今年1月に運営事業の募集が開始され、5月に優先交渉権者の決定が行われました。

調査段階で出された報告書では、この施設は重文に指定する必要性があること、耐震改修するには36.2億円かかるということ、さらに文化財に指定されながら刑事施設として継続利用されることは難しいということが指摘され、海外ではホテルに活用されているものがあるので、PFI(民間資金活用による社会資本整備)によるホテル事業の可能性が検討されました。

実際の公募では、事業方式を「公共施設等運営権を設定し、独立採算により本施設の耐震改修等を行うとともに、史料館の維持管理及び運営を行うもの」とし、業務範囲は「改修業務」「資料館の運営業務」、ホテルや飲食の「付帯事業」と規定されています。また耐震改修の費用負担については、重文なので国の補助が出るということも述べられています。

13人の審査員は、建設を専門とする大学教授のほかに、法学、観光学の教授、刑務所の篤志面接委員経験者、「奈良少年刑務所を宝と思う会」会長などで構成されました。応募は3グループからありましたが、途中で辞退者が出たため、最終的にコンペは2者で争われました。その結果、優先交渉権を獲得したのがチサンホテルを運営しているソラーレ ホテルズ アンド リゾーツのグループでした。

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