長続きしない「第二新卒」は、こう磨き上げる 「なぜ失敗したか」から始める新手の支援会社

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だが、Mさんが前職で受けた仕打ちを聞いてみると、彼がそうなってしまうのも無理はないと感じた。営業成績至上主義の職場で「売れない奴はクズ」として扱われるだけでなく、自分が担当した顧客を横取りする上司がいるような環境で働いた経験を持つ人に、「前職の悪口は言い訳に過ぎない」と言うのは酷だ。その後、MさんはUZUZのカウンセラーのアドバイスを受け入れ、面接指導を受けた結果、1社目に受けたITインフラサービス企業から内定をもらうことができた。

「UZUZに来て何よりよかったなと思うことは、自分と同じような経験をしてきた仲間と友だちになれたことです。彼ら同期の話を聞いてみると、つらい思いをしたのは自分だけじゃないと感じましたし、一緒にがんばっていこうと励まし合ったことがどれだけ心強かったか。もしUZUZに来ていなければ、僕はまだ職探しをしている最中だったかもしれません」。そこで出会った同期の仲間たちのありがたさを語ったMさんだが、同様の発言は前述のSさんとOさんもしていた。

サービスは無料、採用されれば紹介手数料

「第二新卒や既卒のマイナスの印象というのをなくしたい」と語るUZUZの川畑翔太郎専務取締役。同社の社員もほぼ全員、第二新卒か既卒者だ (編集部撮影)

こうしたサービスを、UZUZは無料でおこなっている。同社のビジネスモデルが人材紹介会社と同じで、企業に人材を紹介し、採用につなげることで、紹介手数料を得ているからだ。いかに第二新卒や既卒者を企業が求める水準に伸ばすことができるかがカギとなる。

就活塾や就活セミナー、就職カウンセリングといった人材会社が行うサービスの中には、数十万円程度の高い授業料を要するものが少なくない。こうしたサービスを無料で受けられるのは、金銭的に困窮しながら就活をする人たちにとっては大きな魅力だろう。

創業メンバーの一人で専務取締役の川畑翔太郎氏に今後の展開を聞いた。

「『既卒・第二新卒』と呼ばれる人たちの再就職へのハードルは依然として高く、これを乗り越えるには、キャリアカウンセラーが会員一人ひとりに個別に対応して支援することが必要不可欠です。1対1ですから、対応できる人数は限られてしまいますが、同時に複数人に指導や研修が行える『UZUZカレッジ』と並行すれば、より多くの会員に対応できます。現在は東京圏にある2カ所の拠点に限られていますが、今後は地方自治体や人材会社などと提携し、全国に展開していきたいと考えています」

当初、創業メンバー3人で始めたUZUZは、現在、アルバイト3人を含む28人のスタッフを抱える。企業側からの評価も年々高まっており、売上高は5年目で創業年の約10倍に達したという。

2016年度の年間会員登録者数は約9500人。同社は求職者が就職した後の定着率にこだわっており、入社1年後の定着率は94.7%という高水準だ。既卒・第二新卒の再生工場として、“UZUZ効果”はかなりのものと言える。世の中の第二新卒、既卒者に対するマイナスなイメージは、払拭されることができるか。

内藤 孝宏 フリーライター・編集者

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ないとう たかひろ / Takahiro Naito

「ボブ内藤」名義でも活動。1990年より25年間で1500を超える企業を取材。また、財界人、有名人、芸能人にも連載を通じて2000人強にインタビューしている。現在、宅ふぁいる便「私の職務経歴書」にてインタビュー記事を連載中。著書に『ニッポンを発信する外国人たち』『はじめての輪行』(ともに洋泉社)などがある。

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