量子コンピューター、来年度予算に32億円 米国先行に危機感

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スピンは量子ビットに相当し、増えれば増えるほど、より大規模な問題を扱えるようになる。

組み合わせ最適化問題は、交通網や電力送電網の最適化、周波チャネルの効率的な割り当て、投資ポートフォリオの最適化、創薬など、幅広い分野への応用が期待されている。

動き出した文科省

文科省は概算要求で光・量子技術の推進に32億円を計上した。予算をつけるのは現在、日本の民間企業が取り組んでいる次世代コンピューターではなく、本命とされる汎用量子コンピューターにつながる技術だ。

文部科学省の担当者は「今後5─10年では、ゲート方式につながる技術として量子シミュレーターの開発を後押ししていく。量子アニーリングは技術開発がだいぶ進んでおり、基礎研究を支援する段階ではない」と話す。

超伝導量子ビットや量子アニーリングなど、量子コンピューターの要素技術は日本の研究者から生まれたにもかかわらず、量子ビットの集積化では欧米に後れをとっている日本。

文科省担当者は「世界的に量子コンピューターへの投資が拡大しており、いま投資しないとせっかく優位性があるのに置いていかれてしまう」と危機感を示したが、米国では国防省などが毎年2億ドル(約220億円)をつぎ込んでいるほか、欧州連合(EU)も2019年から10年間に10億ユーロ(約1300億円)を投資する予定だ。

研究者からは「日本は基礎研究は健闘しているが、マシンの開発競争は北米優位。予算規模の差が効いているのかもしれない」との声が聞かれた。

(志田義寧 編集:田巻一彦)

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