「駅ナカ書店」の売れ筋は、駅ソトと全然違う 通勤客が朝夕にチェック、回転速く即返品も

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よく売れたからといって大量に書店に出荷しても、もうその後に発売された別の本に売れ筋が移ってしまい、売れずに返品になることがあるという。お客としては通勤でほぼ毎日店頭を通ることもあり、以前見たのと同じものが置いてあったら、もう買わないのである。書店としてもそれがわかっているので、最も人通りが多く目につく平台の回転率を高くする。売れ筋と思われる最新刊へ次々と置き換えていくわけだ。

ブックエキスプレスの売れ行きランキングを見てもその傾向がはっきりとわかる。

2017年上半期(1~6月)の文庫ランキングは以下のような状況だった。

1位(1位)『リバース』湊かなえ
2位(-)『京の縁結び 縁見屋の娘』三好昌子
3位(2位)『火花』又吉直樹
4位(-)『虚ろな十字架』東野圭吾
5位(8位)『君の膵臓をたべたい』住野よる
6位(-)『アキラとあきら』池井戸潤
7位(―)『ケモノの城』誉田哲也
8位(-)『ちょっと今から仕事やめてくる』北川恵海
9位(-)『22年目の告白』浜口倫太郎
10位(―)『イノセント・デイズ』早見和真

 

カッコ内は「トーハン調べ」上半期(2016年11月26日~17年5月25日)の順位である。(-)はベスト10外を示す。「トーハン調べ」は一般の書店の売れ行きを代表するデータとみなされる。だが、ブックエキスプレスでベスト10に入った本で、トーハンでベスト10に入った本は3冊しかない。

一般書店のベストセラーが「ランク外」に

駅ナカ書店では販促活動も迅速に行われる(編集部撮影)

トーハンで3位の『雪煙チェイス』東野圭吾や、4位の『ビブリア古書堂の事件手帖(7)』三上延といった作品は、発売がそれぞれ2016年12月、2017年2月である。そのため、一般書店では長期にわたって店頭平台の目立つ所に置かれたことで今年の上半期にランキング入りしたのかもしれない。しかし、ブックエキスプレスでは、売れ行きのピークがもっと短い期間となり、ランキング外になったと思われる。逆にブックエキスプレスでは、上半期の後半にあたる5月や6月発売で該当期間が短くてもベスト20入りの作品が多いのも特徴的だ。

ブックエキスプレス文庫2017年上半期2位に入った『京の縁結び 縁見屋の娘』も駅ナカならではの売れ行きといえる。この作品は2017年第15回「このミステリーがすごい!大賞」で次点の優秀賞を受賞している。ただしトーハンの同順位ではベスト10には入らなかったし、大手書店のランキングでも同様だった。

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