山手線新車両で「広告の一等地」はどうなる? アナタが知らない、車内広告市場の最前線
中吊り広告がなくなる――。そんな噂で話題になったあの車両が11月30日、いよいよ営業運転を始める。山手線の新型車両E235系である。
「外観や広告が話題になっているが、実はこっちが目玉」とJR東日本の深澤祐二副社長が強調するのは、走りながら線路や架線の状態をチェックできる点。とはいえ、利用者はどうしても車内の変化に目が向いてしまう。車内広告に関心が集まるのは、仕方のないところだ。
利用者の多い山手線は、JRの中で最も広告価値が高い路線である。全国的に見れば、中吊りなどの車内広告は近年伸び悩んでいるが、山手線だけは出稿希望が引きも切らない。
一方で、車内や駅構内のデジタルサイネージ(電子広告)も年々伸びている。だとしたら、山手線の車内広告をデジタル化し、さらに付加価値を高めたいと考えるのは当然の流れだ。
「中吊り広告廃止」が独り歩き
E235系の当初のコンセプトは、車内の至るところに液晶画面を設置し、広告はデジタルサイネージ化するというものだった。今年3月に初公開された車両にも、中吊り広告はなかった。
このとき「中吊りを残すか、完全にやめるかは、乗客や広告関係者の意見も聞きながら決めたい」とJR東日本は説明していた。「中吊り広告が廃止される」という報道だけが独り歩きしていたわけだ。
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