山手線新車両で「広告の一等地」はどうなる? アナタが知らない、車内広告市場の最前線

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中吊り広告は結局、存続することになった(撮影:風間仁一郎)

実際、文字量の多い雑誌広告を中心に、中吊り広告のニーズは根強い。最終的に中吊りは継続となり、デジタルサイネージと併用されることが決まった。

車内広告を担当するジェイアール東日本企画は、中吊り広告が継続される“サプライズ”を逆手に取り、紙とデジタルの両方を活用したメディアミックス戦略を展開。E235系1編成を丸ごと、1社独占の広告媒体として売り出した。

半月にわたって広告を掲載する枠組みで、料金は定価1800万円(現在は特価で1430万円)。評判は上々で「来年3月までの枠はすべて完売した」とホクホク顔だ。

前評判の高いE235系がデビューすれば、注目を集めるのは間違いない。わざわざ新車両を狙って乗車する人もいるだろう。だが、現在は希少価値が高くても、今後続々と増備されれば、乗客にとっては見慣れたものになる。そのときに、現在のような高い広告価値があるのか。その意味で将来は、1編成丸ごと1社独占でなく、通常の車両同様、スペースをばら売りすることになるかもしれない。

動画CMは13週で3800万円

ドアの上に設置された「トレインチャンネル」(撮影:風間仁一郎)

首都圏のJR路線全体で見た場合、車内広告はどのような状況になっているのか。

山手線をはじめ、現在JRの各路線ではドアの上に「トレインチャンネル」と呼ばれる液晶画面の付いた車両が多く走っている。動画のCMが放映されており、つい見入ってしまったことのある人も多いだろう。

トレインチャンネルには「山手線限定で広告を出したい」というニーズが強い。しかし、そうは問屋が卸さない。

山手線単独でトレインチャンネルに15秒のスポットCMを流す場合、13週間の長期契約となり、料金は3800万円かかる。一般的な1週間契約にしようとすると、首都圏の他路線との抱き合わせになる。その場合は15秒のスポットCMで440万円かかる。

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