仕事で信頼されない人は胸襟を開くのがヘタ デキる営業は取引先への自己開示がうまい
それには「自己開示する」ことが次のステップとなります。本当の意味で営業マンとしての信頼を勝ち取るには、自分という人間を相手に知ってもらうことが最も重要なのです。そのためには、相手の話を聞くだけでなく、自分の情報もシチュエーションに合わせて開示していくのがベストです。聞かれてもいない自分の情報をお客さまに話すのはおかしいので、話題やタイミングを見計らって、「実は私も○○なんです」など、自分のパーソナルな情報を相手に少しずつ開示していくことで、さらに深い信頼関係を構築していくことを心掛けましょう。
「ジョハリの窓」から見る、自己開示の重要性
ジョハリの窓とは、サンフランシスコ州立大学の心理学者でもあるジョセフ・ルフトとハリー・インガムが共同で研究した、心理学でよく使われているモデルのことです。自分をどのように公開し、どのように隠すか。コミュニケーションにおける自己情報の公開と、それによる円滑なコミュニケーションを考えるために提案されたモデルです。
ジョハリの窓には、4つの窓があります。
① 開放の窓(自分にも、他人にも分かっている姿)
自分が考えている姿と、他人に見えている姿が一致している状態をさします。この窓の領域が大きければ大きいほど、相手が私のことを知っている状態なので、信頼関係がつかめ、円滑なコミュニケーションができるようになります。
例えば、私が会社員だった時には、私が営業マンであり、AV機器メーカー担当だということは、お客さまも分かります。このように、お互いが分かりあっている部分のことを「開放の窓」といいます。
② 盲点の窓(他人は分かっているが、自分には分かっていない姿)
これは、自分に分かっていない領域ですが、他人には分かっている姿です。「あの人、ときどきムッとした顔するよね」などという、自分では気づいていない部分のことです。
「開放の窓」を大きくするためには、この「盲点の窓」、すなわち「他人から自分のことがどう見えているか」を、直接教えてもらうしかありません。自分では分かっていないけれども、お客さまは知っていることです。私の場合は「大岩さんのプライベートの部分が見えないよね」とお客さまに言われたことで、自分が自己開示していないことに気がついたわけです。
③ 秘密の窓(自分では分かっているが、他人には見せていない姿)
言葉の通り、自分が他人に隠している姿です。この領域が大きいと、他人とのコミュニケーションがうまくいかないことも出てきます。
「私は結婚していて双子の子供がいます」「愛知県名古屋市の○○に住んでいます」「趣味は、ゴルフとスキーです」などということは、私だけが知っている情報であり、お客さまには私から伝えないと、知ってもらうことはできません。こうした情報を自己開示することで、相手は私の情報を知ることとなり、お互いが共通の情報を持つこととなります。これで開放の窓が大きくなるのです。