「電波少年の土屋P」60歳で映画初挑戦の狙い なぜいま「欽ちゃん」なのか

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2011年の冬、萩本さんを自宅前で待ち受け、「欽ちゃん、もう一度、視聴率30%番組を作りましょうよ」と持ちかけると、萩本さんは「そんな、うれしいことを言ってくれるの」と、快く引き受けてくれた。

番組の内容は、欽ちゃんの真骨頂というべき舞台コントだ。出演にあたり、萩本さんから提示された条件は、主演を「(女優の)田中美佐子にする」というものだった。萩本さんは、明治座での公演などを通じて、田中さんの“コメディエンヌ”としての才能を高く評価しており、田中さんを主演に起用すれば、視聴率30%が取れるというのだ。

その後、今注目のクリエーティブ集団・猪子寿之さん率いる「チームラボ」が、CGによる舞台セットを制作するなど、7月のオンエアに向けて、準備は着々と進んでいったが、一方で、さまざまな“事件”が起きる。まず、3月10日には、萩本さんの相方、坂上二郎さんが脳梗塞で亡くなる。その翌日、3月11日には、あの東日本大震災が起きた。

そして、極めつきが、番組収録本番の前々日に、主演の田中美佐子さんが萩本さんの元を訪れ、番組を降板したいと伝えたのだ。結局、番組は田中さん抜きでやることになった。

映画のテーマは?

映画の副題は、「誰も知らない、萩本欽一」 。画像をクリックすると、『We Love Television?』公式ページにジャンプします(画像:©2017日本テレビ放送網)

今回の映画『We Love Television?』は、その2011年の番組を受けてのドキュメンタリー映画だ。映画の中で「視聴率30%の番組のつくりかた」が解明されるのかも気になるところだが、さらに興味深いのは、映画の副題にもなっている「誰も知らない、萩本欽一」、つまり、萩本欽一の人間像が克明な映像で映し出されているというのだ。土屋さんいわく、「萩本欽一を追ったドキュメンタリーは今までにもあったが、今回の映画は、これまでにない、ありえない深さ」だという。

実は、2011年の番組出演のオファー時に、土屋さんは萩本さんに「番組のメイキング映像に使うので、何か思いついたり、こうしようと思ったらカメラをまわしてください」と伝え、自撮り用のビデオカメラを手渡した。

すると、番組準備中の半年間、萩本さんは、ほかの仕事をせず、集中していたこともあり、必要以上にカメラを回してくれたので、結果として10時間を超える膨大な量の自撮り映像が残った。そこには、坂上さんの葬儀の様子や、震災発生の日の夜に何を思っていたのか、田中美佐子さんが降板を伝えに来たときにどのように対応したかなど、素顔の萩本欽一に迫る、貴重な映像が含まれていた。

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