「私とネット上で会う前から、彼は日本への旅行を計画していました。まずは東京で会い、伊豆では1泊しましたが、キスもしていません。リスペクトしてくれていることが伝わってきました」
マイケルさんはそのまま一人で大阪へ。しかし、真奈美さんへの気持ちが高まり、「新幹線代は出すから遊びに来てほしい」とメール。真奈美さんが後から大阪に行き、交際がスタートした。
2カ月後の夏、マイケルさんは再び来日。今度は真奈美さんと会うことが目的だ。彼の誠意と熱意が伝わってくるペースである。もともと海外好きの真奈美さんもオーストラリアに行き、さらにマイケルさんが3度目の来日。真奈美さんは彼からプロポーズを受けた。
「付き合ってからまだ半年だったので不安はありました。でも、まじめで誠実で私を大事にしてくれる彼を逃すことは考えられませんでした」
一方のマイケルさんには迷いはなかったようだ。真奈美さんに通訳してもらって「彼女との結婚に踏み切った理由」を質問しても、「フィーリング。真奈美と結婚するのが正しいと直感できたから」の一言。潔い男性だ。
翌年の夏には結婚をし、真奈美さんはオーストラリアにあるマイケルさんの家に住むようになった。シドニーではなく、人口20万人弱の地方都市だ。静岡の地元と「田舎度」はあまり変わらないと真奈美さんは笑う。
「最初の1年間は特に何もしませんでした。退屈していたわけではありません。ビザの申請もあったし、静岡の父が亡くなったので帰国したり。子どもがいればママ友ができたかもしれませんが、私たちには子どもがいません。私は家で引きこもっているのも好きなんです。静岡で友だちと共同経営しているお店は、スタッフの給与計算などは私が引き受けていました。国際ネット婚活に関するブログ記事を書いたり、大宮さんの『晩婚さん、いらっしゃい!』を読んだり。けっこう楽しい1年間でした」
英語学校に通ったものの…
2年目からは移民者向けの無料英語学校に通い、仲間もできた。ガーデニングが趣味のマイケルさんとの生活もペースがつかめてきた。
「彼は料理以外は何でも一人でできます。朝は早いので自分でコーンフレークを食べ、寝床にいる私に軽くあいさつをしてから出て行きます。昼は毎日同じ喫茶店に行き、同じサンドイッチを食べるそうです。朝と昼は1年中同じ食事でいいみたい。午後2時半には仕事が終わり、真っ直ぐ家に帰って来ます」
真奈美さんのほうは家事を済ませれば自由時間が待っている。在豪の日本人仲間と会ってランチやお茶をしながら日本語でおしゃべりをするのが楽しみだ。英語学校に通ったものの、「自分の英語はもう向上しない。夫との会話さえ成り立てばいい」と割り切っている。現地の映画やラジオはあまり理解できないし、病院に行くときはマイケルさんに付き添ってもらっている。
マイケルさんとしても、真奈美さんが英語力を磨いて仕事を見つけることを希望しているわけではない。「日中に退屈しているならば働いたらいい」というスタンスだ。ただし、平日の夕方以降や休日は2人で一緒に過ごしたい。真奈美さんが仕事を見つけるのは難しいかもしれない。
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