日本人よ、「観光先進国・タイ」から謙虚に学べ 「物価が安い」のに大金を使わせる工夫とは

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ご存じのように、タイの物価は日本の約半分程度ですが、ドル建ての国際観光収入は日本よりかなり多く、客単価でみると世界第26位です。ちなみに、日本の国際観光客の客単価は第46位にとどまっています。

これまで本連載で繰り返し述べてきましたが、日本はこれまで「観光」に力を入れてこなかったので、整備も不十分でした。それがこの数年で徐々に整備が始まってきたことで、面白いように右肩上がりの成長を続けています。

国際観光客数の伸び率は世界第9位で、国際観光収入も世界11位まで上がるなど、「観光成長国」です。先月もまた史上最高の観光客数の記録を更新しました。

しかし、タイの実績はそんな日本の成長を上回るほどの勢いで、世界の観光関係者から熱い視線を集めているのです。

タイに大金を落としているのはどの国か

では、そんなタイと日本はいったい何が異なっているのでしょうか。直近の数字ということで、タイの2015年の国際観光客と、ちょうど伸び盛りの日本の2016年の国際観光客の実績を比較してみましょう。

出所:タイ政府データ(2015年)、観光庁データ(2016年)より筆者作成

中国、および東アジア地域からの観光収入では、日本はタイを上回っています。日本が東アジア地域に強いのは、主に韓国からの観光客が多いからです。

一方、タイはオセアニアとASEAN地域からの観光収入が日本よりもかなり多くなっています。ASEAN地域に強いのは、主にマレーシアからの観光客数が多いからです。

ここだけを見ると、ロケーションの違い、すなわち近い国から多くの観光客が訪れているということになりますが、タイと日本で決定的に違うところが1点あります。

それは欧州からの観光客です。日本は中国や東アジアという近隣国からの観光客に偏在していますが、タイにはASEANやオセアニアだけでなく、欧州など世界中から満遍なく観光客がやってきているのです。

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