日本人よ、「観光先進国・タイ」から謙虚に学べ 「物価が安い」のに大金を使わせる工夫とは
その前に、まずは世界的なトレンドを見てみましょう。
観光業は「化学・燃料」に次ぐ第3の輸出産業
2016年の国際観光客は前年から3.9%増加して、12億3500万人となりました。そのうちのおよそ半分は欧州を訪れ、4分の1はアジアを訪れています。この「アジア観光」は前年比8.6%増加しており、成長率としては世界一です。
つまり、「UNWTO Tourism Highlights, 2017 Edition」からは、これからは「アジア観光」の時代だという未来を見据えることができるのです。
観光でどれだけ稼いだかという国際観光収入は、全世界で1兆1220億ドルとなりました。インフレや為替の影響を調整した実質成長率は2.6%です。
観光業は全世界の輸出額の7%を占めています。これは化学製品分野、燃料分野についで3番目に大きく、自動車や食料品の輸出額をも上回っています。雇用に関しても、これまで世界の労働人口のなかで11人に1人が観光業に携わるという状況でしたが、10人に1人に拡大しています。
日本国内には「観光客など増えても住民からすれば迷惑なだけだ」「日本は技術大国なので観光業などに頼らなくてもいい」と主張される方が多くいらっしゃいます。
しかし世界的に見てみると、「観光」はテロや金融不安など不透明な国際情勢の影響をものともしない「成長産業」という位置づけなのです。テロの記憶が新しいベルギーは前年対比で1.1%の収入減にとどまっていますし、フランスも5.3%減でした。
では、このような大きなトレンドがあるなかで、「観光大国」になるのはどのような国なのでしょうか。
単に多くの観光客が押し寄せるという「量」だけではなく、いかに観光客から稼ぐことができているかという「質」の高さを見るには、国際観光収入のランキングが参考になります。
このランキングでは例年どおり、アメリカ、スペインという常連組がトップを占めていますが、第5位から第3位にランキングを上げたアジアの国に注目すべきです。
それは、日本人観光客にも人気のタイです。
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