使い勝手向上の「電子ペン」は本格普及するか SNSと好相性、市場は世界規模で拡大中
そのため、「会議でホワイトボード代わりにタブレットを使い、議事録としてテキスト化するといった、ビジネスでの利用も広がっている」と、サムスン向けに電子ペンを製造するワコムの掛晃幸氏は話す。
また、「病院での問診票やレンタカーの貸出票の記入など形式の決まった手書き書類を扱う事業者に対して、電子ペン入力で自動テキスト化し、業務の効率化を図るサービスの展開を模索中」(ワコムの畑隆久氏)といい、今後はB to B市場での普及も予想される。手書き入力がより一般的になれば、電子ペン普及の追い風になるというわけだ。
電子ペンにとってのもう1つの追い風は、人気アプリとの親和性だ。SNSのフェイスブックやインスタグラムのストーリー機能(24時間で投稿した動画が削除される)やスナップチャットに動画や画像を投稿する場合など、手書きメッセージを添えるユーザーも多い。その際、よりきれいに書くにはペン入力が適している。
そのほか、「LINEのパズルゲーム『ディズニーツムツム』など、電子ペンと相性のよいゲームもあり、若者を中心に電子ペンの人気が高まっている」(スマホメーカー社員)という。
アップルやサムスンは今後どうする?
電子ペンが本格的な普及期を迎えるには、電子ペン対応スマホの増加が欠かせない。現在、電子ペン対応のタブレットは多く存在するが、電子ペン対応のスマホを日本で発売するのはサムスンのみ。8月23日にはGalaxy Noteシリーズの最新モデルが米国で発表される予定だ(日本での発売時期は未定)。電子ペンの可能性を広げるような新機能が搭載されるのか、注目される。
一方、アップルも前CEOの故スティーブ・ジョブズ氏は2007年の新製品発表会で「Who wants a stylus?(誰が電子ペンなんてほしいの?)」と発言するなど否定的だったが、2015年にはiPad Proの周辺機器として「Apple Pencil」を発売した。将来的にはiPhoneで使えるようになるとの見方もある。アップルが対応すれば、中国スマホメーカーも追随する可能性が高く、普及が一気に加速するかもしれない。
ソフトの進化や人気アプリとの相性のよさから、用途が広がりつつある電子ペン。本格普及の日も近そうだ。
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