「給料が安い」と嘆く人は需給がわかってない モノの値段が決まる仕組みを知っていますか
経子:値段?
高橋:そう。交わるのが5万円なら、5万円で買いたい人と、5万円で売りたい人がいる地点(均衡点)が、より多くの消費者とより多くの生産者が納得できる価格になる。市場はモノの値段を1つに定める場所だから、こういうしくみでモノの値段が決まっていくんだ。ここまで、わかったかい?
経子:はい。需要と供給の図は、買うときは安く買いたい、でも売るときは高く売りたいっていう気持ちを表しているんですね。
季節外れの商品が安くなる理由
高橋:じゃあ、次はモノの値段が変わるケースを考えてみよう。たとえば、ある定番の学習机がリニューアルして再発売されるとしようか。これまでになかったような新しい機能がついたとか、デザインがよくなったとかさ。
経子:最近は、大人になっても使えるデザインの机が人気ですね。子どもの成長に応じてレイアウトを変えたり、それに応じて電灯を付け替えられたり、棚を増やせたりするんですよ。
高橋:へぇ。人気があるの?
経子:新しく発売されたモデルは前より5万円ほど高いんですが、すごく売れています。
高橋:前より高くても売れるのは、欲しい人が増えたからだね。買いたい人が増えると、需要曲線は右に動く。そうすると、交差するポイントが上のほうに動くんだ。つまり、価格が高くなる。逆に、前のモデルは古くなるから、買いたい人が減る。需要曲線は左に動いて、交差ポイントが下になる。
経子:ウチも古いモデルは安く売り出してますよ。
高橋:需要曲線が動くのは、モデルチェンジのときだけじゃない。たとえば急にブームになる商品や、季節が変わって欲しい人が増える商品があるよね。そういうときは、需要曲線が右に動いて値段が上がる。逆に、ブームが廃れたり、生活スタイルに合わなくなる商品は欲しい人が減るから需要曲線が左に動いて値段が下がる。
経子:季節外れの商品が安くなるのは、そのためですね。
高橋:そう。ただ、値段が動くのは消費者の欲しい気持ちだけが原因じゃない。生産者側の作る量が増えたり、減ったりしても値段は変わる。もし、その人気モデルがたくさん作られたら……?
経子:値段が下がる?
高橋:そのとおり。生産量が増えると、供給曲線が右に動くから、交差ポイントが下のほうになるね。
経子:逆に、生産量が減ると、供給曲線が左に動いて、交差ポイントが上に上がるんですね。
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