「給料が安い」と嘆く人は需給がわかってない モノの値段が決まる仕組みを知っていますか

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高橋:会社に英語ができる人が多いなら違う言語がいいよ。希少価値があるほうがいいから。たとえば、東京都の小池百合子知事はアラビア語ができる。若いときにカイロ大学を卒業してるみたいだね。日本でアラビア語ができる人は少ないから、希少性でグイッとチャンスが来やすい。もちろん、それにもニーズがないとダメだけどね。

経子:じゃあ、増えている中国からのお客さんに対応するために、中国語かな……。

基本スキルと希少価値のあるスキル

高橋:語学にしろ、資格にしろ、基本スキルに希少価値のあるスキルを組み合わせれば、収入は上がっていくよ。

経子:基本スキルと希少価値のあるスキル?

高橋:小池都知事はアラビア語が堪能だっていわれているけれど、あの人は英語も話せる。基本スキルは仕事に最低限必要なもの。そこに、希少価値のあるスキルが足し算されて、かけ算したかのようなおカネを得られる。

経子:私の場合の基本スキルは、接客技術や商品知識かなあ。それももっと身に付けなきゃいけないうえに、希少価値のあるスキルか…。

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高橋:集中的に勉強する分野を決めるには、ある程度、直感も必要。とにかく希少価値を付けたら、花形企業に転職するもよし、起業するもよし。それがいちばん、おカネを稼げる方法だよ。

経子:また、極論みたいなことを言うんだから……。

高橋:起業や自営自体はいいよ。夫婦で別々の会社を経営するとかお勧めだね。定年もないし、実力次第でずっと働ける。私は、学生にも就職しても30歳になる前に辞めて、自分で会社作れって言ってるんだ。大きくドカンと稼ぎたいなら起業が一番だよ。コツコツは、一生コツコツで終わっちゃう。楽しいうえに稼げるんだから。ねぇ、大将だってそうでしょ?

大将:最初に店を出すときは苦しかったですけどね。今はやっぱり自分の店で、自分の好きなようにやれるのは楽しいですわ。頑張った分だけ、稼げますしね。

高橋:私は最初、大蔵省の役人だったんだよ。すぐ辞めればよかったけど、25年以上勤めてやっと辞めた(笑)。天下りして優雅に暮らす方法もあったけど、天下りを蹴って、天下りを批判するという「希少価値」を選んだわけ。おかげで生涯年収は公務員の何倍にもなったよ。若い頃はあまり差がないけれど、私くらいの年齢になると、格差がすごく大きくなる。若い頃の決断や身に付けたスキルは、生涯年収に大きく影響するとも言えるね。

高橋 洋一 政策工房会長/嘉悦大学教授

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たかはし よういち / Yoichi Takahashi

1955年、東京都生まれ。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年、大蔵省(現・財務省)入省。プリンストン大学客員研究員時代、のちにFRB議長となるベン・バーナンキ教授の薫陶を受ける。内閣府参事(経済財政諮問会議特命室)、総務大臣補佐官、内閣参事官(総理補佐官補)などを歴任。2007年に財務省が隠す国民の富「霞が関埋蔵金」を公表し、一躍、脚光を浴びる。2008年、退官。現在、大学で教鞭をとる

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