テレビ番組を変える新指標「視聴質」の正体 テレ東の「ニッチ」路線は、やはり強かった

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TVISION INSIGHTSが分析したところ、刑事モノやミステリーに大きな支持が集まっていた。

上位15位のランキングを見ると、約半数近くを占めていることがわかる。また、既婚者の女性が小学校の頃から好意を寄せていた同級生と再会し、不倫関係に陥るドラマ「あなたのことはそれほど」(TBS)がランクインしているなど、意外な結果も見えてくる。こうした切り口は、これまでの視聴率だけでは見えなかったものだ。

他にも興味深いデータがある。低予算ながらもユニークなコンテンツ作りが支持され、視聴率でも健闘しているテレビ東京の番組は、視聴質で高い数字を出していることがわかっている。

テレ東「外国人来日」番組の強さ

こちらは諸事情によりデータの詳細は言及できないが、2017年4月〜5月のF1からF3層を見ると、トップ20ランキングへのランクイン数で他の民放を上回っていた。F1(20歳〜34歳女性)層では11番組(2位は4番組)、F2(35歳〜49歳女性)では6番組(2位は5番組)、F3(50歳以上女性)では8番組(2位は6番組)となっており、どのセグメントでもトップだ。

個別の番組を見ると、外国人に空港で声をかけ、来日した目的を密着取材する「YOUは何しに日本へ?」や、日本に来たい外国人を招待する「世界!ニッポン行きたい人応援団」など、「外国人来日モノ」の番組が、全セグメントでもランクインしている。テレビ東京の縄谷太郎編成局編成部長は「個別の番組の評価については、コメントを差し控えたい」としつつも、「ありがたいし、嬉しいことだと思う。視聴率だけでなく、いろいろな角度で番組評価基準があるのはよいこと」と話す。

「テレビ東京は最後発の局で、ステーションパワーが劣っていることは自覚している。企画力で勝負しないと太刀打ちできない。その時代に合った形で、他局とは違う個性や違和感を作るよう考えてきた。ここ数年、個人の趣味や価値観が多様化していると感じているが、これまでやってきたことが時代にフィットしてきたのかもしれない」(同)

他局に予算で敵わないからこそ、視聴者にとって真に「面白い」と思われる番組作りを心がけていることが、視聴質にも数字として表れているということになるのかもしれない。

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