日本経済は持続的拡大局面に移行していない 4~6月期の実質GDPは内需で上振れしたが…

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最近では、人手不足に対応して省力化投資が活発になっているという見方も多いが、日本全体で見れば、機運がそこまで盛り上がっているわけでもなさそうだ。日本政策投資銀行がまとめた設備投資計画調査によれば、設備投資の動機について「合理化・省力化」と答えた企業の割合は2017年度で5.7%(計画)。2011年度以降、おおむね6%近傍で推移しており、足元も同様の水準にとどまっている。

能力増強までには至らない

一方、企業の設備投資スタンスの積極化を反映すると考えられる「能力増強」は、2013年度から3年連続で上昇してきたが、2016年度に反落。2017年度もほぼ横ばいの水準だ。逆に割合が高まっているのは「維持・補修」となっている。

「企業収益の改善を受けて、設備投資は先行きも堅調に推移しそう。ただ、個人消費を中心とした国内需要は当面力強さに欠ける状況が続きそうで、企業の投資意欲が高まるまでまだ時間を要しそうだ」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎・経済調査室長)

4~6月期は"内需の両輪"が牽引する形で高い成長率の伸びを示した日本経済。ただ、その実態はあくまでも追い風参考記録。企業が設備投資を本格化させるには個人消費の高まりが不可欠であり、個人消費が持続的に増えていくには実質雇用者所得の着実な伸びが必要だ。その意味で、来年の春闘は非常に重要な意味を持つことになりそうだ。

猪澤 顕明 東洋経済 記者

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いざわ たかあき / Takaaki Izawa

1979年生まれ。慶應義塾大学卒業後、民放テレビ局の記者を経て、2006年に東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、ニュース編集部などに在籍。2017年に国内のFinTechベンチャーへ移り、経済系Webメディアの編集長として月間PVを就任1年で当初の7倍超に伸ばす。2020年に東洋経済へ復帰、「会社四季報オンライン」編集長に就任。2024年から「東洋経済オンライン」の有料会員ページを担当。

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