茨城の県都・水戸、なぜ「独り負け」が続くのか

関東の県庁所在地で唯一地価の下落が続く

2009年に閉店した商業施設「リヴィン水戸」(運営元は西友)の跡地だ。

閉店後7年以上の間、跡地の活用策が決まらなかったが、ようやく昨年11月、ホテルやオフィスの入居する複合ビルを整備する再開発計画が決定した。その一方で市の中心部では、リヴィン以外にも、経営不振による大型商業施設や大口テナントの撤退が後を絶たない。

「リヴィン水戸」の跡地。駅前の一等地にもかかわらず、長い間更地のままだ(記者撮影)

市街地空洞化の原因について、県内の地価動向に詳しい不動産鑑定士の塚本修一氏は、「郊外型の店舗に人が流れたことが大きい」と分析する。

水戸市郊外では、2005年に「イオンモール水戸内原」がオープン。車移動が中心の水戸市民の多くが、駐車場が遠くて少ない駅前よりも、すぐ隣に車を停められる郊外の大型商業施設に流れてしまった。

つくばエクスプレスの開業が打撃

とはいえ、こうした「ドーナツ化現象」は隣の宇都宮市をはじめ多くの地方都市で起きている。なぜ水戸の地価だけが下落し続けているのか。

大きな要因の一つは、2005年のつくばエクスプレス(TX)の開業だ。秋葉原とつくばを最速45分で結ぶTXの開通に伴い、沿線の守谷市やつくば市では開発が急速に進み、人口も増加傾向をたどる。

(出所)国土交通省「地価公示」

たとえば守谷市はTXの開通以降、地価が右肩上がりで上昇を続けた。昔は人気があったJR常磐線沿線の取手や水戸から、TX沿線に人の流れは変わりつつある。

不動産調査会社の東京カンテイによると、一戸建て用の土地の流通坪単価(2017年1~6月)は、取手駅が平均17.6万円なのに対し、守谷駅は34.3万円。

同様に、常磐線の土浦駅は平均11.3万円だった一方、西に位置するTXのつくば駅は23.2万円と、距離は近くても最寄り駅の沿線が常磐線とTXでは価格に大きな差が出ている。水戸市もTX沿線の勢いに押され、県内での求心力を失いつつある。

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