茨城の県都・水戸、なぜ「独り負け」が続くのか 関東の県庁所在地で唯一地価の下落が続く

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駅前から続く大通り。シャッターが降りたまま店舗が目立つ(記者撮影)

さらに水戸には新幹線が通っていないことも大きく影響している。東京からの所要時間は、新幹線が停まる宇都宮市が約50分なのに対し、水戸市は常磐線の特急で約75分。東京以外からアクセスするにも、新幹線の方が利便性の高いことが多い。

リーマンショック後に支店撤退が相次ぐ

不動産鑑定士の塚本氏は「リーマンショック後は企業の支店撤退が相次いだ。水戸市中心部のビルはテナントが抜けて、空室率が高止まりしているところもある」と指摘する。水戸に置かれていた企業の支店は、東京本社の直轄になったり、新幹線の通る宇都宮市の支店などに統合されるケースが散見されるという。

地形的なハンディもある。茨城県は全体的に平地が広がり、都市部でなくても住みやすい地域が多い。

そのため、水戸市への人口集中率(県内での人口割合)は、9.3%と全国の県庁所在都市の中で最も低い(2015年)。もともと求心力が高くない中で、県南部のTX沿線や近隣県にまで人や企業が流れていき、水戸市の地価は下がり続けていった。

ただ、県都である水戸は茨城県の「顔」でもある。水戸の中心部がかつての賑わいを取り戻さないと、県全体のイメージにも陰りが波及しかねない。流出が続く人や企業をいかに水戸へ呼び戻すか。地元の経済界や行政が連携した抜本的対策が迫られている。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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