ポスト安倍、「岸破聖太郎」の攻防が始まった 4年後なら小池と小泉が参戦し大乱戦になる

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仮に、首相が総裁3選を断念して岸田氏への「禅譲」でキングメーカーを狙う場合は、額賀、麻生両派に最大派閥の細田派や幹事長派閥の二階派も加わった「大派閥連携」を画策すると見る向きは少なくない。その場合、石破氏は党内の反安倍勢力を糾合する一方、2012年総裁選で首相を圧倒した地方票での戦いを余儀なくされるが、「数の争いでは極めて劣勢」(自民幹部)となることは避けられない。

第2次安倍政権発足時に党内ナンバー2の幹事長に就任した石破氏は、その後の地方創生担当相や"浪人時代"も含めて、熱心に地方行脚を続けてきた。このため「地方に行けば石破氏の人気は高く、外相として海外を飛び回っていた岸田氏の知名度不足は否めない」(岸田派幹部)のが現状だ。

しかし、これからは政調会長の職務として各県連や地方ブロックでの会議に出席するため、岸田氏に弱点克服の機会が増大するのは間違いない。
しかも、永田町での「岸田本命説」の広がりを受けて、テレビの情報番組を含めたメディアへの同氏の露出が激増しており、内閣支持率急落で"反安倍"的コメントを求めるメディアの期待に応えてきた石破氏の出番は減り始めている。

その一方で「女性首相候補ナンバーワン」(自民幹部)に返り咲いた形の野田氏や、「将来のホープ」(政府首脳)の河野氏もメデイアへの露出度は急増している。ただ、いまのところは"サプライズ閣僚"としての出演が多く、「ポスト安倍」を前提とした企画での出番は少ない。

「安倍3選」はなお既定路線に

ただ、こうした「ポスト安倍レース」の構図に決定的な影響を与えるのが次期総裁選での「安倍3選」問題だ。党内を制圧してきた1強体制には陰りがみえるものの、首相自身の続投意欲に変化はみられない。

今回の岸田氏重用人事は「安倍3選と4年後の総裁選での岸田支持のバーター」(細田派幹部)との見方が多く、人事前の安倍・岸田会談では「首相が総裁選に出馬すれば岸田氏は首相支持に回ることで合意した」(首相側近)という"密約説"が永田町に流布されている。この点について岸田氏は「1年後のことなど今から明言できない」とかわし、岸田陣営でも「総裁争いの歴史をみても禅譲説など信ずるほうがおかしい」(側近)との声が少なくない。岸田氏も「総理・総裁は堂々と戦って勝ち取るもの」と周辺に語る。

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