ポスト安倍、「岸破聖太郎」の攻防が始まった 4年後なら小池と小泉が参戦し大乱戦になる
この4氏の自民党総裁選とのかかわりをみると、石破氏は2008年と2012年の2回、総裁選を戦い、河野氏も2009年に出馬している。野田氏も前回2015年総裁選で出馬を目指したが、あと一歩のところで断念を余儀なくされた。ところが岸田氏は名門派閥・宏池会(岸田派)の領袖なのに、同派所属の林芳正文科相の2012年総裁選への出馬を横目に、まだ1回も出馬どころか出馬準備もした形跡がない。
自民党総裁選史をひもとくと、初出馬で総裁の座を射止める「一発勝負」型と、複数回の挑戦を経て頂点にたどり着く「一歩一歩」型に大別される。最近の総裁では安倍首相や福田康夫元首相は前者で、麻生太郎元首相(現副総理兼財務相)や小泉純一郎元首相は後者だ。したがって、仮に次期総裁選に岸田氏ら4氏が出馬すれば、岸田、野田両氏が「一発」組、石破、河野両氏が「一歩一歩」組として競い合う形となるわけだ。
「岸・石対決」は大派閥連携で岸田氏有利?
もちろん、総裁選出馬には「本人を除く20人の推薦人」という条件に加え、派閥単位の合従連衡なども重要な要素となる。このため、永田町では「ポスト安倍の総裁選は結局、派閥領袖の岸田、石破両氏のマッチレースになる」(自民幹部)との見方が多く、出馬を狙う野田、河野両氏はまず、推薦人確保に苦闘することになりそうだ。
では、現状での「岸田・石破対決」の形勢をみると、「党内に敵をつくらない"全方位型"の岸田氏が、敵の多い"一匹狼型"の石破氏より有利」(自民幹部)との分析がもっぱらだ。
宏池会のプリンスで「党内ハト派の代表選手」とも位置づけられる岸田氏は、政治路線が重なる額賀派との交流も深め、党内第2派閥の麻生派も宏池会の系譜にあることから「派閥の合従連衡」による総裁選なら優位に立つ可能性は大きい。対する石破氏は、自民離党後は政党を渡り歩き、復党後も所属した額賀派から抜け出し、党内無派閥組を糾合して小派閥の石破派を結成しただけに、大派閥主導の総裁選となれば劣勢なのは否めない。
今回の人事で首相があえて岸田氏を党3役に起用したのは「個人的にも親しい岸田氏への禅譲路線をちらつかせることでの求心力強化と、安倍批判を繰り返す石破氏を孤立化させる」(自民長老)との思惑があったとみられている。
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