実は、女性の自殺はかねてから独身者のほうが多いのですが、これは未婚者というよりも、夫と死別した高齢の独身者が多いことによります。ただ、男性の場合は、年代別に見ると40代が4年連続で最も多くなっています。
40代独身男性の自殺は、なぜ多いのか?
40代独身の男たちの自殺は、なぜ多いのでしょうか? 私たちは、「不幸な結果には不幸な要因があるはずだ」と短絡的に考えてしまいがちです。「40代独身者が『幸せになれない』根本原因」という記事でもご紹介したように、既婚者より未婚者のほうが不幸度が高く、特に40代未婚男性の不幸度が最も高いという統計はあります。ただ、不幸度の高さが自殺者数に直結するとはいえません。
また、仕事を失った男性が自殺するからだ、というのも一面的な見方です。確かに、男性の自殺者を全年代で見てみると、6割が無職者です。ただ、これは60代以上の退職者が多く含まれているためです。実は、自殺をした40代男性のうち、無職者の割合は38%にすぎません(2016年版「自殺対策白書」より)。つまり、リストラや失業を経験したわけではなく、ちゃんと企業で働いている状態のままで自殺する40代男性が多いということです。
もうひとつ注目すべきは、自殺者の男女比です。男性の自殺者は女性のほぼ2倍以上でずっと推移しています。これは、日本に限らず全世界共通の傾向です。先進国だろうと新興国だろうと、民族や宗教が違えど、ほぼすべての国で男性の自殺のほうが多いんです。
こうした自殺における男女差はなぜ発生するのでしょうか? 2017年厚生労働省自殺対策推進室による「平成28年中における自殺の状況」の資料から、自殺の原因動機別に男女の差を見てみたいと思います。これらの原因動機は自殺者の遺書等の自殺を裏付ける資料から、明らかに推定できる原因・動機を、1人につき3つまで計上したものです。
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