三峯神社の何が多くの人々を引き付けるのか 東京近郊のパワースポットが人気化した理由

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「白い氣守の授与を開始したのは、2013年の7月からです。“白”には清浄、太陽などを表す意味があるほか、何色にでも染まる色であることから、新しいスタートという意味もあります。このことから、朔日に頒布しています。また、当社を開いた日本武尊をこの場所に導いたのが白い狼だったという伝説があります。普通の氣守の袋には白い狼の絵柄をデザインしていますが、白い氣守は色自体が白い狼を表しているので、デザインを変えています。

ちなみに、白い氣守は、この場所まで足を運んでいただいた人にしか授与していません。お守りには、本来、神社にお参りして、神様からいただいた力を持ち帰る意味があります。お参りいただいた方のみに授与するのは、本来のお守りの授与の仕方に立ち返ったということです。白い氣守がきっかけで、1度、当社に足を運んでいただければ、このすばらしい環境がわかっていただけるだろうという願いもあります」という。

もちろん、足が悪くなり、山の上まで足を運べなくなった人が電話でお守りを頼むというケースなどもあるだろうが、裏を返せば、神社に実際に足を運ばず、お守りだけ欲しいという人が多いという事情もあるようだ。

なお、白い氣守は、毎回、数は十分に用意しており、並んだ人に行き渡らなかったことは今までないそうだ。

絶景の「雲海」ツアーも実施

三峯神社から見る雲海(写真提供:三峯神社)

上述した理由のほか、圏央道の開通や、西武鉄道が元町・中華街から西武秩父まで直通運転する「S-TRAIN」を運転開始するなど、ここ数年で秩父へのアクセスが向上したのも、三峯神社の追い風になっていると思う。

また、西武鉄道では、2015年より、三峯神社で絶景の雲海&星空鑑賞を目指す「元町・中華街駅発の夜行列車で行く秩父絶景ツアー」なども開催している。秩父の雲海といえば、「秩父ミューズパーク」展望台なども話題になっているが、標高1100メートルの三峯神社からの眺めは、やはりひと味違う。

なお、三峯神社には、天然温泉「三峯神の湯」につかることもできる宿坊「興雲閣」もあり、無理して日帰りせずとも、宿泊して参詣することも可能だ。ぜひ1度、温泉に浸かりながら、のんびり参詣してみてはいかがだろうか。

森川 天喜 旅行・鉄道ジャーナリスト

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もりかわ あき / Aki Morikawa

現在、神奈川県観光協会理事、鎌倉ペンクラブ会員。旅行、鉄道、ホテル、都市開発など幅広いジャンルの取材記事を雑誌、オンライン問わず寄稿。メディア出演、連載多数。近著に『湘南モノレール50年の軌跡』(2023年5月 神奈川新聞社刊)。2023年10月~神奈川新聞ウェブ版にて「かながわ鉄道廃線紀行」連載開始

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