新幹線「先着列車」を表示しないのは不親切だ 後発列車が先に目的地に到着することもある
このモニター表示は、列車が走る国の現地語が聞き取れない外国人にとっても優しい作りとなっている。表示言語はあくまで現地語だけだが、ひとたび遅延が起きれば駅名の横に数字で「+5(5分遅れ)」などと明示されるほか、大きな遅れが出ても代替の乗り継ぎ列車が表示されたりする。
つまり、大きな遅延や不通区間の発生による迂回などが生じたときのことを考えると、このモニターによる情報提供は旅行者にとって心強い。画面を通じて「何か変なことが起きている」とわかれば、車掌や周りの人に状況を尋ねるきっかけにもなり、現状を知ることに大いに役立つ。
しかし欧州にもわかりにくい表示もある。特に、地元の人にしかわからない省略形で駅名などを書かれると外国人にはお手上げだ。筆者も初めてドイツを訪れたとき、hbfが中央駅(Hauptbahnhof)の略だとわからず、地図と照らし合わせるのにずいぶん苦労した思い出がある。
外国人が「情報弱者」になってしまう
ところで、日本の新幹線などでの外国人向けの案内情報の現状はどうだろう。地方の交通機関では、多言語に対応した録音放送や案内ビデオを繰り返し聞かされることもままある。事前に録音や文字入力が済まされた案内は「平常時」に有効かもしれないが、事故や災害などによる遅延などが起こった際、より簡便な方法で外国人により正確で具体的な情報を伝えるといった仕組みはあるのだろうか。言葉や事情がわからない日本という国で、外国人が「情報弱者」となってしまうケースは少なくない気がする。
「外国人の個人旅行者にもわかりやすい表示」を推し進めている欧州の鉄道に対し、日本の案内方式は昔に比べて表示そのものは見やすくなったものの、設計の発想そのものには残念ながら際立った変化は見られない。訪日客のみならず、遠方から訪れる日本人の利用客にもよりわかりやすい案内にするといった計画はないのだろうか。五輪開催を契機にさらなる改善を期待したいものだ。
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