「TGVもう造らない」、仏新大統領が爆弾発言 「高速鉄道より在来線」、運輸相とは意見対立
7月2日に、フランスで2本の高速線が同日開業して1カ月余りが経過した。南ヨーロッパ大西洋線(トゥール―ボルドー間)、そしてブルターニュ=ペイ・ド・ラ・ロワール線(ル・マン―レンヌ間)の2線だ。
開業前日、フランス国鉄(SNCF)は大規模なセレモニーを開催。就任間もないエマニュエル・マクロン大統領も、高速列車TGVに乗車し、会場のレンヌを訪れた。
セレモニーも終盤に差し掛かった頃、マクロン大統領が登壇し、招待客の前で約19分間、スピーチを行った。大統領は率直に高速線2本の同日開業という歴史的偉業を祝った後、次のように宣言した。「これ以上、高速線計画に着手しない」――。
ロケットスタートを決めたTGV大西洋線
開業セレモニーは、7月1日、19時10分に始まった。フランス北西部、ブルターニュ地方の都市レンヌ。そのレンヌ駅から徒歩5分の広場が会場。約700人の関係者が招待され、最前列にマクロン大統領の姿があった。
SNCFグループの2017年度上半期(1~6月)の業績は好調だった。売上高は前年同期比3.7%増の166億ユーロ(約2兆1600億円)。牽引したのはTGVで、フランス国内需要が同8.4%も伸びた。
2本の新高速線のチケットは、3月15日に発売開始。開業前日まで200万枚超が売れ、ボルドー・レンヌ両都市方面のTGV大西洋線の売り上げは、昨夏と比較し30%超で推移する。
マクロン大統領はパリから16時50分発のTGVに乗車、新高速線を走行し、18時16分にレンヌ駅に到着した。
ただのTGVではなかった。一般の乗客は立ち入れない特別列車。しかも、前方に線路上の障害物の有無を確認するTGV、後方に護衛用TGVを従え、3編成のTGVが、それほど間隔を空けずに最高時速320kmで走行したのだ。さらに、上空をフランス空軍の戦闘機「ラファール」が護衛飛行。そして、沿線の橋や建造物にも機動隊が配備された。フランスの大統領が、“TGVで移動する”緊迫感がそこにあった。
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