借金1億円の旅館を再興させた若女将の執念 逆に投資を拡大、我が身を削るPRも生きた
食堂のテーブルを桜の一枚板に変え、タイル張りで殺風景だった内装を、木のぬくもりを感じさせる和モダン調に。旅館の借金は計1億円に膨れ上がった。
大女将に啖呵を切ってまで挑んだ旅館の改革だったが、客足は思いのほか、伸びなかった。「こんなに頑張っているのに」と頭を抱える美香さんに「どう責任取るおつもり?」と怒りをぶつける大女将。借金を巡る嫁姑バトルは、事態を悪化させるばかりだった。
「美人女将」捨て身のパフォーマンスで人気旅館に
「旅館再興のためには、PRに力を入れるしかない」。美香さんはそう考えた。常連客を相手にしていた老舗旅館には、長年ホームページはおろかパンフレットすら存在していなかった。ただ、旅館には多額の借金がある。パンフレットを作ろうにも、モデルやカメラマンを雇うお金がない。八方塞がりとなった若女将は、娘と一緒に、自らパンフレットのモデルに。SNSで発信したり、地元の企業や広報担当に配って回った。
すると「美人女将」として、ある雑誌で取り上げられ、ちょっとした話題になる。それを機に美香さんはみずから広告塔となり積極的にメディアへ露出。さらに、泊まりに来てくれたお客様に喜んでもらおうと驚きのサービスを考える。
「どじょうすくい踊りは安来市が発祥の地です」(美香さん)
若女将自ら実演する「どじょうすくい」。この捨て身のパフォーマンスは、お客さんに大ウケ!「女将がどじょうすくいをする旅館」として話題になったのだ。今では外国人客も多く利用する県内きっての人気旅館へと生まれ変わった。今ではなんと2カ月先まで予約でびっしり埋まっている。
事あるごとに衝突してきた大女将は、この状況をどう思っているのか?若旦那に聞いてみた。
「自分(大女将)が出来なかったことをしているから、『すごい』と」(浩三さん)
大女将も認めざるを得ない。若女将は結婚を機に劇変した人生の活路を自ら見出した。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら